第5章 体位と撮影方向



  1. 体位

     1.立位

     2.座位

     3.臥位

     臥位には,背臥位(仰臥位),腹臥位(伏臥位),側臥位(右側臥位、左側臥位)などがある。
     仰臥位(背臥位)は体前面を上向きにして寝た体位である。

     4.斜位

     斜位には第1斜位と第2斜位(左前斜位)がある。
     第1斜位(RAO, Right Anterior Oblique Position)は右を前にした斜位である。
     第2斜位(LAO, Left Anterior Oblique Position)は左を前にした斜位である。

  2. 四肢の体位

     1.外転位

     四肢を横方向に開いて体軸から遠ざける体位である。

     2.外旋位

     手足の前面が外側に向くようにねじる体位である。

  3. 撮影方向

     1.矢状方向

     矢状方向は体の前後をつらぬく方向である。
     腹背方向,前後方向(antero-posterior projection,A→P)と
     背腹方向,後前方向(postero-anterior projection,P→A)がある。
     腹背方向は前後方向と同じである。

     2.側(前額)方向

     側方向は右→左方向と左→右方向がある。

     3.斜方向

     腹背第1斜方向:体の右前から左後へ斜めにつらぬく方向。
     腹背第2斜方向:体の左前から右後へ斜めにつらぬく方向。
     背腹第1斜方向:体の左後から右前へ斜めにつらぬく方向。
     背腹第2斜方向:体の右後から左前へ斜めにつらぬく方向。

     4.軸方向

     軸方向は体幹を頭尾または上下につらぬく方向である。
     頭尾方向(上下方向):頭側から足方へ
     尾頭方向(下上方向):足側から頭側へ

  4. 頭部の基準線(面)

     1.矢状面

     矢状面(sagittal plane)は正中面に平行な面で、体を左右に二分する面である。

     2.正中面

     正中面は身体を左右に等分する平面である。

     3.前額面

     前額面(mid-coronal plane)は矢状面に垂直に交わり、体を前と後に分ける面である。また、冠状面とも呼ばれる。

     4.ドイツ水平線(面)

     ドイツ水平線(面)(anthropological basal line,ABL)は外耳孔上縁と眼窩下縁を結ぶ線(面)である。

     5.眼窩耳孔線

     眼窩耳孔線(orbito-meatal line)は外耳孔中心と外眼角を結ぶ線である。
     ドイツ水平線と眼窩耳孔線の間の角度は、10゚〜15゚である。

     6.耳垂直線

     耳垂直線(auricular line)(面)は両外耳孔の中心を通り、ドイツ水平線(面)と正中矢状面に垂直な線(面)である。

     7.鼻棘耳孔線

     鼻棘耳孔線(acanthio-meatal line)は外耳孔中心と鼻棘を通る線である。

     8.その他の基準線

     マックラエ線は大後頭孔の前縁と後縁とを結ぶ線である。
     マックグレゴール線は硬口蓋後縁と後頭骨の最低点とを結ぶ線である。
     チェンバレン線は大後頭孔後縁と硬口蓋後縁とを結ぶ線である。
     フィッシュゴールド線は左右乳様突起下縁を結ぶ線である。

  5. 頭部以外の基準線

     1.シェントン線

     シェントン線(Shenton)は骨盤部の閉鎖孔の上縁と大腿骨頸部の内縁を結ぶ線である。

     2.ヤコビー線

     ヤコビー線(Jacoby line)は両腸骨稜先端を結ぶ線で、第4〜5腰椎レベルである。

     3.足の基準線

     足の基準線は第2足指と踵骨の尖端を結ぶ線で,足軸ともいう。

  6. 基準点
     トルコ鞍はドイツ水平線より上に位置する。
     喉頭隆起(甲状軟骨)は第4頸椎レベルである。
     胸骨柄上縁(胸骨上窩)は第2〜3胸椎レベルである。
     胸骨角は第4〜5胸椎レベルである。
     胸骨剣状突起は第9〜10胸椎レベルである。
     肋骨弓下縁は第3腰椎レベルである。
     腸骨稜は第4腰椎レベルである。
     上前腸骨棘は第2仙椎レベルである。
     恥骨結合上縁は尾骨レベルである。

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2007年4月作成