上部頸椎(第1・2頸椎)正面は上部頸椎が後頭骨、下顎骨に重なるため、開口位にて撮影される。
頸椎前後位(第3〜7頸椎)の中心線は、第4頸椎の位置で尾頭方向15゜で入射する。
体位は立位、坐位、背臥位とする。
[第1・2頸椎前後位撮影] | [第3〜7頸椎前後位撮影] |
頸椎は前弯を示し、軸椎には歯突起が上方に突出している。
頸椎側面像は後縦靭帯の骨化、圧迫骨折の診断に用いられる。
斜位方向撮影の目的は椎間孔の最も狭い部分を正面像として撮影することで、頸椎左前斜位撮影(LAO)では、左側の椎間孔が良く描出される。
[頸椎第1斜位撮影] | [頸椎第2斜位撮影] |
外傷のとき他の撮影に先立ち、患者の安全のために仰臥位のまま水平X線束による側面撮影を行う必要がある部位は頸椎である。
胸椎前後位の中心線は第7胸椎(胸骨体の中央)でフィルムに対して垂直に入射する。
体位は背臥位とする。
胸椎側位撮影は胸椎を肺野内に撮像するので、管電圧を前後位と比べ低くし、撮影時間を長くして行われる。
胸腰椎移行部側面撮影は呼気時で腰椎側面の条件が用いられる。
腰椎前後位撮影は背臥位の場合、膝を立てて背部を撮影台に密着させ、中心線は第3腰椎とし、呼吸停止で行われる。
体位は背臥位、立位とする。
[腰椎前後位撮影] | [腰椎斜位撮影] |
側位撮影ではX線中心を肋骨弓下縁(第3腰椎)の高さとする。
生殖腺のX線防護に配慮する。
腰椎斜位撮影では、体位は仰臥位で、非検側をフィルム側から離し、前額面を30゚〜45゚斜位とする。
腰椎左前斜位撮影(LAO)では、右側の椎間関節や椎弓がよく描出される。
ドッグライン(スコッチテリア像)は腰椎斜位像にて椎体が描出される像である。
腰椎斜方向写真では、椎間関節や椎弓部が描出され、脊椎分離症の診断に有効である。
[腰椎第2斜位撮影] | [腰椎第2斜位像(スコッチテリア像)] |
尾骨正面撮影は背臥位で、中心線を恥骨結合上縁に向け頭側より10〜20゚で入射させる方法である。
仙骨側位撮影の中心線は上前腸骨棘の高さで背表面から5〜6cm内側の位置でフィルム面に垂直に入射する。
仙骨・尾骨側位撮影において、描出されるものは、仙尾関節、尾骨、岬角、正中仙骨稜である。
[尾骨正面撮影] |
仙腸関節前後位撮影では、体位は両下肢を伸展し、恥骨結合上縁を入射点とし、男性15°、女性20°の尾頭方向で入射する。
仙腸関節斜位撮影では、体位は検側を挙上し前額面をフィルム面に対し15゚〜20゚斜位とする。
[仙腸関節撮影] |
骨盤前後位の体位は背臥位である。
骨盤前後位のX線中心線は正中線上で座骨下端線とJacaby線とを結ぶ線の中点である。または、正中線上で恥骨結合上縁とJacaby線の間で、恥骨結合側1/3の点である。
骨盤斜位撮影では、体位は非検側を挙上し前額面を45゚斜位とする。
骨盤軸位撮影法では、X線中心線は両大転子を結ぶ線の中点に向けて垂直に入射させる。
[骨盤斜位撮影] | [骨盤前後位像] |
グースマン(Guthmann)法は骨盤計測法の一つで、立位側面像であり、児頭骨盤不適合の診断に用いられる。
X線中心線は大転子より2横指前上方(産科真結合線の中点)の点に向けて、正中矢状面に対して垂直に入射させる。
産科真結合線は恥骨結合の後面中央の最突出部と岬角(こうかく)を結ぶ線である。
マルチウス(Martius)法は骨盤計測の一つである。
マルチウス法では、体位は半坐位で、足を伸展し、第5腰椎棘突起と恥骨結合上縁を結ぶ線(外結合線)を水平に位置づける方法と、上体をたんに55゚起こす方法とがある。
その他には、Colcher-sussman法、トーマス(Thomas)法がある。