ピアノを支えに
アンジェラ・アキさんは、1977年に徳島県で生まれた。幼いころは日本人の父とアメリカ人の母を持つことから、周囲の視線や言葉に傷つき、悩むことも多かったという。そんな中でアンジェラさんを救ったのは、3歳から始めたピアノ。だんだんとピアノが上達していくにつれて、友だちに「ピアノのアキちゃん」と呼ばれるようになっていった。それはアンジェラさんが何者でもない“自分”を手に入れることが出来た瞬間だった。
中学校卒業後はアメリカに渡り、ハワイの高等学校を卒業。ワシントンDCにある大学へ入学したアンジェラさんは、カナダを代表するシンガー、サラ・マクラクランのライブに感銘を受ける。サラの詞は人生の明るさや華やかさだけを歌ったものではない。ネガティブな思いや苦しみも表現していて、まるで悩みを抱えた自分自身の代弁者のように感じたのだ。サラに影響され、アンジェラさんの音楽に対する意識はぐっと広がっていった。
二重生活の中での迷い
「シンガーソングライターになろう」と心に決めたアンジェラさん。大学卒業後、昼間はオフィスで働き、夜はバーやライブハウスで歌う二重生活が続いた。しかし、だんだんと自分が何のためにここまでやっているのか、どこへ向かっているのかわからなくなってしまったという。
そんなとき、アンジェラさんの背中を押してくれたのは、会社の上司であるボブ・ビンガムさんだった。アンジェラさんのライブステージを見て彼女の才能を確信したボブさんは「Take a chance on you(自分に賭けてみなさい)」と助言。さらに、“三角形の目標設定”(ピラミッド型に二本の横棒を引いた図に短期・中期・長期的な目標を書き出してみること)を勧めた。アンジェラさんはボブさんの言葉を受けて自身の夢を改めて見つめ、自分に賭ける覚悟を決める。
夢の武道館コンサート
2003年12月、26歳になったアンジェラさんは11年ぶりに日本へ帰国。椎名林檎の日本武道館コンサートに感動し、“いつか自分もここに立ちたい”と決意を新たにする。その後、ライブ活動や地道なレコード会社まわりを続けているなかで日本語の勉強にも励み、ついに2005年9月にメジャーデビュー。さらに2006年12月には、念願の日本武道館で初の引き語り単独ライブを実現させた。
「次の目標はグラミー賞」と掲げ、人々の心に響く歌を歌い続けるアンジェラさんの胸には、いまもボブさんの言葉が刻まれている。
アンジェラさんは笑顔がとても印象的な方でした。気運、気概や謙虚さを持ち合わせていらっしゃって、内面的にもすごく素敵な女性です。これからも多くの歌を作って私たちに聴かせてほしいですね。
- こぼれ話1 ジーンズトークに花が咲く
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アンジェラさんといえば、ジーンズ姿を想像する人も多いはず。そんなアンジェラさんに合わせて、西田さんの衣装もジャケットとジーンズ姿に。合間には西田さんがアンジェラさん着用ジーンズのクラッシュ部分についてたずねる姿も見られ、ジーンズ談義が繰り広げられていた。
- こぼれ話2 スモークの中で熱唱
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番組のテーマソング「輝く人」をスタジオで熱唱したアンジェラさん。スタジオの片隅に置かれた機械からは、もくもくとスモークが吐き出され、一瞬で歌番組のような雰囲気に!
- こぼれ話3 桜も登場
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今回の収録が行われたのは、桜の満開にはちょっぴり早い3月下旬。しかし、スタジオにはきれいに咲き誇る桜が…。実はアンジェラさんのワシントン時代の思い出が詰まった花、ということでスタッフによって用意されたものだった。しばし花を見つめるアンジェラさんと西田さんは、とても優しい表情に。
- こぼれ話4 アンジェラさんが記した言葉
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アンジェラさんがスタジオに持参した紙には、「目指せ 武道館」「勇気・ガッツ・規律・夢」と記されていた。椎名林檎さんの日本武道館コンサートを見に行った際、「自分も武道館でやりたい!」という気持ちを込めてご自身で書いたものだそう。