「法人税は海外より高い」に、2つのごまかし。民主党政権は、「国民生活が第一」の政策を!
大塚耕平金融副大臣は、21日、テレビ朝日の番組で、法人税減税について「参院選のマニフェスト(政権公約)に方向感を出した方がいい」と述べた件についてです。
大塚耕平金融副大臣は21日、テレビ朝日の番組で、法人税減税について「参院選のマニフェスト(政権公約)に方向感を出した方がいい」と述べた。「法人税率引き下げと財政改革をやり、有権者の信頼が得られれば次の総選挙で消費税率引き上げへの理解を求める」とした。
法人税は実効税率が約40%と海外より高い。経済界などに減税を求める声が強く鳩山由紀夫首相も減税に前向きな発言をした。大塚氏は具体的な水準として 「少なくとも(実効税率が)30%を切るところまで持っていくべきだ」との考えを示した
少し、この件については、こちらにも書いている。しかし、私たち庶民にとっては、これは見過ごすことのできない大事なので、改めてこちらにももっと丁寧に書いてみたい。
この文から読み取れる法人税減税の理由は、「海外より高い。経済界などに減税を求める声が強い」だ。大塚金融副大臣からは、「企業の国際競争力をあげるため」という発言も聞いた。
こういう鳩山首相や大塚金融副大臣を見ていると、法人税減税で生じた企業利益がどのように使われていくのか、国民の生活はどうなるのかなど何も考察せず、また、「海外より高い。経済界などに減税を求める声が強い」や、「企業の国際競争力をあげるため」が本当に正しいのか検証している風も感じられないことは、民主党を支持し応援している私としては、情けなく思う次第だ。
日本の法人税は本当に高いのか、法人負担はどうあるべきなのか、よくわかるサイトがあったので、紹介したい。
日本の大企業負担(法人税・社会保険料)は他国より軽い - 法人税減税でなく欧州並みの負担増を
◆「法人税は海外より高い」に、2つのごまかし
1、企業負担を国際比較する場合には、法人税だけでなく社会保険料の事業主負担も加えなければ、実際の企業の公的負担を国際比較することはできない。
詳しくはリンク先を読んでいただくとして、財務省の
ホームページに掲載されている「平成22年度税制改正の大綱」で見ると、この6カ国の中で、日本の「法人税」は、一番高い。
しかし、社会保険料事業主負担を見て頂ければお分かりのように、フランス、スウェーデンの企業は、日本の2倍以上を負担している。
「企業負担」を国際比較するには、「法人税」と「社会保険料」を合わせて比較しなければならない。そうすると、下記のようになる。
自動車製造業の「企業負担」は、フランス41.6、ドイツ36.9、日本30.4、アメリカ26.9、イギリス20.7で、日本は先進5カ国中3位です。 情報サービス業の「企業負担」にいたっては、フランス70.1、ドイツ55.7、アメリカ46.7、日本44.2、イギリス39.3と、日本は5カ国中4 位です。「法人税」の負担だけで比較しても、情報サービス業と金融業では、日本企業はアメリカ企業よりも負担が低くなっています。
ということで、「社会保険料企業負担」を合わせると、日本企業の負担は、低い方なのである。
日本企業は負担が低いのであるから、「法人税が高いと国際競争力が低下する」とか、「企業が海外に出て行ってしまう」などという主張はまったくのデタラメとわかる。
2、日本経団連が「高い」と批判している「法人税の実効税率」は、実際に企業が負担している税率とは大きくかけはなれて低い。
日本の大企業の税負担は、さまざまな「大企業優遇税制」の恩恵によって、実際の税負担率は10%も低くなっている。
各社の実際の実効税率は、トヨタ30.5%、ホンダ32.1%、三菱商事20.1%、三井物産11.4%と表面税率で計算した実効税率よりも大幅に下がっ
ている。
<おもな低下要因は次の3つ>
Ⅰ、試験研究費税制控除、その期に支出した研究開発費の金額の12%を法人税額から控除できるなどの制度(限度は法人税額の20%まで)。この制度によりトヨ
タは07年3月期に762億400万円の減税になっている。
Ⅱ、外国税額控除、外国で払った税金を日本の決算申告時に控除できるという制度、自分が支払っていない税金も控除できてしまう間接外国税額控除やみなし外国税
額控除も含まれており、大変不公平な大企業優遇税制。三菱商事は07年3月期に399億2,600万円の減税になっている。
Ⅲ、受取配当益金不算入、法人は個人株主の集合体という実態と違った前提で減税になっているものです。三菱商事は07年3月期に281億1,100万円の減税
になっている。
(※ここまでが『日本税制の総点検』(勁草書房)の「第5章 法人所得課税のあり方」からの引用)とのこと。引用の引用をさせていただいた。
以上のように、日本の法人税は他国と比べても高くありませんし、実際の企業の公的負担(法人税と社会保険料)は、フランスやドイツの7~8割で、むしろ 日本の企業負担は相当低いことが分かりました。日本の法人税を低くするのではなく、大企業優遇税制をやめて、ヨーロッパ並みの負担を日本の大企業にもきちんと果たさせる必要があるのです。
ということで、企業が実際に払っている法人税は、表面上の税率とは違い、フランスやドイツの7~8割で、むしろ
日本の企業負担は相当低いのだ。
本当にふざけた話じゃありませんか。実際の運用面で大企業の法人税はさまざまに減税され40%の負担ではなく、わずか11、4%というところまである。私たち国民は、「優遇税制を止めろ」とか「法人税下げるな社会保険料企業負担を増やせ」と要求すべきですね。
しかしまぁ、自民党政権じゃあるまいし、民主党政権は、「国民生活が第一」と言って当選しておいて、法人税減税、消費税増税だなんてよくぬけぬけと言えたもんだと思う。もともと、消費税は上げたがっていた節はあったけれども。
だいたい、この減税されて増えた企業利益は、いったいどこへ向かうと思っているのだろうか?研究開発費に向かうと思いたいのかもしれないけど、そんなことが言い切れるのかと聞きたい。減税で浮いたお金は企業の自由になるお金でしかない。「国際競争力をあげる」を理由にし今まで減税を行ってきた結果、内部留保金が積み上がり、株主配当金が上げられてきたことを考えると、「企業の国際競争力をあげるため減税しろ」は、これからもその方向で行くための方便だとしか思えない。今以上、内部留保金が積みあがり、日本人が汗水たらして働いて得た利益がますます外国資本家へ流出していく、消費税を10%以上にする、ということが、日本をどういう経済状況に陥れることになるかわかっているのだろうか。とても、そこまで考えているとは思えない。思考停止しているのだと思う。
大塚金融副大臣は、法人税を引き下げることが、「企業に国際競争力をつける」と思っているようだが、いったいどういう根拠を持ってそういえるのが、国民に説明しなくてはならない。
私は、企業に国際競争力をつけるのは「技術開発」に求められることであり、それは、すなわち企業が優れた人材を育てることだと思っている。優れた人材を育てるには、まず、なんといってもその労働者がまともな生活をおくれることが基盤となるが、それには、企業が社会保険料を担い正当な労働賃金を支払い、労働者が安心して働ける環境を作ることに求められる。
「国際競争力をつける」のが目的ならば、大塚金融副大臣は、「法人税」を下げるのではなく、企業に労働者が安心して働けるよう社会保険料の負担を求めるのが筋ってもんだろう。
「国民生活が第一」を掲げる民主党がするべき政策は、「法人税増税」、「社会保険料企業負担増」、「株主配当金増税」、「所得税累進強化」をして、国民が安心して暮らせる社会基盤を構築することで、決して、アベコベをしないでください。
国民が選んだ民主党政権で経済を崩壊、国民生活崩壊をさせないようにお願いします。
【追加記事】
twitterからfidelcastro002さんのつぶやきを紹介します。
http://twitter.com/fidelcastro002/status/11133228327
日本の企業には本当に国際競争力がな かったのか?もしそうだとすれば内部留保など溜まるはずがなかった。内部留保の他株式の配当4倍、役員報酬2倍払っても豊田には13兆の留保が積み上がっ たのだ。国際競争力は企業と株主(某帝国)が儲けを折半するための方便にすぎなかったのでは・・ラテン状態・
役員報酬を失念しておりました。言い得てますね。
財界パニック役員報酬1億円以上「個別開示」嫌がる企業はどこだ!に、【有名企業の役員報酬】が、ありますのでこちらへ書き出してみます。
【有名企業の役員報酬】
◆新生銀行/29億4200万円
◆日産自動車/25億8100万円
◆大日本印刷/19億2100万円
◆三菱電機/18億4100万円
◆トヨタ自動車/15億8900万円
◆キヤノン/15億8600万円
◆三菱商事/16億6500万円
◆日立製作所/15億4200万円
◆東芝/14億8900万円
◆住友商事/12億5900万円
◆新日鉄/12億5400万円
◆野村証券/12億5300万円
◆住友不動産/12億1900万円
◆ソニー/11億9800万円
◆ホンダ/9億9000万円
◆パナソニック/9億6600万円
◆武田薬品工業/6億8100万円
◆ダイキン工業/7億4800万円
◆シャープ/4億9200万円
◆鹿島/4億7300万円
◆富士通/4億1400万円
◆大正製薬/3億9100万円
◆ヤフー/3億2300万円
◆京セラ/2億7300万円
グローバル化やら国際競争力の掛け声で行われた小泉カイカクは、労働者を派遣社員にして使い捨て、1000万人のワーキングプアを生み出し、一方で、株主の配当4倍、役員報酬2倍、積み上がる内部留保金(トヨタ13兆)を生みだしました。
「国際競争力は企業と株主(某帝
国)が儲けを折半するための方便にすぎなかったのでは...」
まさしくその通りですね。
みなさん、騙されないようにしましょう!
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コメント
政権交代して半年が経過しましたが鳩山政権は官僚機構に操られているのが実情です。
各省庁もですが一番駄目なのは内閣官房で平野官房長官が仕切っていて鳩山総理には正確な情報が伝わらない様です。
残念な事に民主党議員の大半は経験不足で大臣にしても一部を除いて官僚と議論しても言い負かされて、結局は彼等の言いなりです。
この状況を改善するには参議院選挙に勝って民主党政権の力を官僚機構に認めさせ、既得権益集団を解体させると同時に民主党議員の一人一人が国民の為に働く覚悟と努力が求められます。
小沢幹事長を目の敵にするマスコミの扇動に乗せられて慌てふためく反動勢力も国会対策の数合わせで温存せざるを得ない苦しい局面ですが、一致団結してここを乗り切れば展望は開けると思います。
投稿: isao-pw大城 勲 | 2010年3月26日 (金) 22時05分
今晩は。
去年の衆院選のマニフェストで、民主党は雇用・経済の段で中小企業の法人税率を現在の18%から11%に引き下げる。とは書いています。
ところが、大塚副大臣の弁ですと大企業の法人も含めた税率の引き下げに言及しているようです。
普天間基地移設では選挙時、最低でも県外、出来れば国外とは言ったがマニフェストには書いてないと「居直り」ともとれる発言をしたデージンもいましたが、この法人税率では書いてないのに引き下げるとは・・。こうやって批判していくことも政権を支持していく上でも大事だとは思いますが、政府は整合性と過去の発言・約束を破るようなことをするなと(またそれの多いこと)。ありていに言えば、いい加減にしろよ、ということですね。
投稿: something | 2010年3月26日 (金) 22時27分
isao-pw大城勲さん
民主党議員は、経験不足で官僚に操られているというのはよくわかります。
平野官房長官が一番のガンというのもわかっています。
でも、参院選のマニフェスト(政権公約)に法人税減税の方向感を出されたのでは、応援できなくなってしまうではありませんか。
参院選で勝利をして、法人税減税と消費税増税をやられたのではたまったものではありません。
民主党になんとか方向転換をさせないと、これでは選挙が危ういと思います。
投稿: ふじふじ | 2010年3月26日 (金) 23時42分
somethingさん
中小企業の法人率引き下げには文句ありませんけど、参院選のマニフェストに大企業法人税を引き下げ方向を明示するとのこと。そして、消費税も引き上げるということも言っているので、結局、参院選では、日本を大不況にしようという政策を打ち出すということになります。
真逆の政策が必要だということをわかってもらわなくてはいけないと焦ります。
せっかく、国民が選んだ政権が支持を失っていったり、参院選に勝利して安定した暁には、経済を崩壊させられるとなんてことはゴメンですよね。
しっかり批判して、正しい刑税制のあり方を分かってもらわないとと思ってます。
投稿: ふじふじ | 2010年3月26日 (金) 23時50分
会社にもよりますが、外資系企業は、健康保険・年金保険・雇用保険を会社が100%負担しますので、日本企業と同じ給料でも、手取りの金額が全然違います。もし法人税を安くするなら、社会保障関係の企業負担を重くしないと、会社が儲かるだけで、社員には還元されません。せめて正社員は健康保険と雇用保険を100%会社負担にし、正社員以外にも雇用保険だけは100%義務付けるようにしないと、労働者から見捨てられます。
オバマさんの医療制度改革を見ても分かるように、欧米では企業の従業員に対する社会保障は、非常に重くなっています。ここが日本との大きな違いです。
投稿: 通行人 | 2010年3月27日 (土) 13時01分
通行人さん
外資系企業が、労働条件が良いというのは知りませんでした。
日本の法人税は、みかけ40%ですが、実質は、それよりさまざまな大企業優遇減税の恩恵により低くなっているので、まず、大企業優遇減税を全部撤廃してから、30%にするのならありかも知れません。でも、社会保険料の負担は、今の2倍に増やすことが必要ですね。
今までの大企業減税が、決して労働者賃上げへ向かうことはなく、企業内部留保金と株主配当金を増やしてきました。
これを教訓にすれば、今の優遇税を放置したままでは、大企業への減税はすべきではなく、むしろ増税をすべきだと思います。
社員の生活を苦しくして、優秀な研究や開発ができるはずがありません。
企業の国際競争力をあげたいと欲するなら、社員の待遇を改善することです。
>せめて正社員は健康保険と雇用保険を100%会社負担にし、正社員以外にも雇用保険だけは100%義務付けるように
に、賛成します。
オバマさんの国民皆保険を支えるのが日本人の血と汗と涙でないことを願っています。
投稿: ふじふじ | 2010年3月27日 (土) 13時42分
ふじふじ様
はじめまして(^^)
最近ちょこちょこ覗かせていただいていました。
初めてコメントします。
12日の鳩山発言と、先日の大塚発言には、
私も相当にがっかりしてしまいました(*_*)
特に大塚氏は、亀井先生の下で副大臣をやってみえるので、
日本経済の現状について理解されている!
と、思っていただけに残念でなりません!!
菊池先生や二宮先生の経済分析が全然理解できていません!!
ふじふじ様も言われているように、
法人税を減税することで、設備投資が増え経済活動が
活発にるというのならともかく、
内部留保と配当のみが増やされ、従業員への分配には
決して回されることがないことはハッキリしています!
物言う米国機関投資家に支配されてしまっている大企業は、
投下資本の資本効率しか眼中に無いのだから!!!
彼らの求めるまま、大企業への法人税減税と、
消費税の増税を行えば、
鳩山政権への期待で上昇した株価は暴落!
個人消費は消費増税で落ち込んでしまい、
景気は大きく反落してしまいます!!!
そんなことが分からない内閣では参院選で信任したくなくなってしまいそうです!!!
財務官僚筋が、いろんな入れ知恵で圧力をかけたおかげ
なんだ!と思うのですが…悲しくなってしまいます!!!
企業の社会保険料負担率を上げ、所得税の累進率を上げ、
一方で消費税の食料品など生活必需品の免税化などの、
所得分配の垂直的見直しを断行して、
国民の可処分所得を増やすことで国民の消費を喚起させ、
内需拡大による経済成長を目指すべきだと思います!!
まずそのきっかけとして、十兆円規模の財政出動を
数年にわたって行い、デフレ脱却をしなければいけない!
と思います。
投稿: かっちょ | 2010年3月28日 (日) 01時34分
かっちょさん
ようこそ、コメントありがとうございます。
大塚副大臣は、日本経済がなぜここまで悪くなったか、全く理解していませんでした。
頭のよさそうな人ですが、官僚のレクを受けているうちに思考停止に陥るのでしょうね。
法人税減税で、海外役員と海外投資家への送金額を増やし、企業内部留保金を増やすばかりです。このような欲張り連中が労働者の賃金を増やすはずがありません。労働者の賃金は減らす方向へ行くのです。
そして、消費税を10%半ばまで上げると言っているのだから、これは、国民生活を追い詰めるための税制改革と言わざるをえません。
これに対して、私たちは強硬に抗議していかないと、本当に生活が危うくなります。
国民的運動を繰り広げる必要がありますね。
投稿: ふじふじ | 2010年3月28日 (日) 12時55分
はじめまして。
udonenogureさんのブログから飛んできました。
簿記についてほんの少しかじっただけの私の知識を持ってしても、法人税と社会保険料はセットで考えないと意味がないことくらいはわかります。物を売って得たもうけ(粗利)から人件費や光熱費・減価償却費などの経費を差し引いたのが会社の利益で、そこから法人税を払うということになる。
当期純利益は投資に回そうが自分の懐に貯め込もうが会社の“自由”にできる。経営者としては同じ“持っていかれる”のなら自由に扱える金が増えた方がいいに決まっている。極端な話、法人税の減税というのは会社側(経営側)の理屈でしかなくそこで働く者のことは無視している。実際、トヨタが内部留保が1兆円と騒がれたし、労働分配率は“会社は株主のもの”という考え方に傾きすぎて下がる一方。
かなりでたらめな数字ですが、
(現行) (改正)
売上:1,000 1,000
原価: 500 600
粗利: 500 400
(注・ここでいう原価とは人件費などの販管費を加えたもので、粗利とは税引等調整前の当期純利益を出した状態と思ってください。)
この粗利から法人税を持っていくわけですが、現行で40%の法人税率とすると会社の利益は500×40%を差し引いて300。法改正で社会保障費の負担増による人件費≒原価の増加があったとしても、法人税率が現行の半分の20%なら会社の利益は400×20%を差し引くので320となる。
ちょっと考えただけでも法人税減税だけを言及するのは片手落ち。社会保障費の負担増と法人税減税は矛盾するものではないはず。そして、そういう“統一”ルールづくりができるのが政府の仕事でありしなくてはならない仕事。同じ会社のもうけなら会社に貯め込ませずに使う側に回す(回させる)のが政治の力であって、それができるのも政治の力しかない。
現行の社会保障費の負担の少なさや“隠れ減税”の抜け道の多さから言えば逆に法人税は増税してもいいくらいで、国民の生活が第一というならむしろ「社会保障費を全額負担するなら法人税は払わなくていい!」というくらいの発想の転換が必要。ただでさえ超高齢化で社会保障費は増える一方ですから・・・。労働者側の社会保障費の負担が減るということは実入り(=可処分所得)が増えることにつながるのでよりお金が回りやすくなる。
もともと日本は企業内で人を育てるという風土があったわけですから、社員の使い捨てという“グローバル化”に惑わされないで日本の強みを生かしたやり方を提示してほしいですね。
投稿: junk_in_the_box | 2010年3月28日 (日) 19時32分
junk_in_the_boxさん
ようこそ、コメントありがとうございます。
法人税減税することで、企業の自由になるお金が増えるわけですが、それは、「国際競争力」を錦の御旗にして、労働者への賃金アップには決してつながりません。企業内部留保金と株主配当金と役員報酬に化けることは見え透いています。
「国際競争率の強化」だとか「法人税は海外より安い」などと騙されて法人税を減税すると、日本人が汗水たらして働いて得た利益の多くが、役員報酬や株主配当金として海外へ流出してしまいます。後、企業に内部留保金が貯まるわけです。
単純に考えて、法人税が減税になった分は、日本国内に回らなくなるお金です。それだけ、不況になります。
さらに、10%半ばまで消費税を上げるということは、税金に持っていかれる分だけ国内でお金が回らなくなるということですよね。
これは、大不況になるのです。日本人を地獄へ陥れることになるでしょう。
経済が小さくなった分、それで暮らせる国民は減るということですね。
しかし、言葉の背景にある意図も見抜けない政治家が政治をしているってことは、空恐ろしいことです。
投稿: ふじふじ | 2010年3月28日 (日) 22時16分
まだ、抜けてるよ。
消費税をベースとした最低保証年金に移行した場合、どうなるの?
厚生年金の企業負担は軽減の方向では?
それとシンガポールの社会保障に詳しい方に是非ともコメントを求める!!!
投稿: モンテカルロ・モナコ | 2010年3月29日 (月) 00時20分
モンテカルロ・モナコさん
ようこそ。コメントありがとうございます。
そうでしたね。
社会保障費を全額消費税でという方針を出していましたよね。
これで、企業の社会保障負担をゼロにするのでしたっけ?
これは、すごい。企業負担は、実質、5%とかもっと下の数字になるのかもしれません。
そして、私たちの負担は、消費税だけでも15%となるわけですね。
私たちは貧乏互助会に入れられることになります。
民主党に政権交代したからと油断は禁物で、小泉・竹中路線は民主党議員の中に健在です。
シンガポールの社会保障については知らないですが、調べてみたいと思います。
投稿: ふじふじ | 2010年3月29日 (月) 10時53分
こんばんは、初めまして。
非国民通信様のサイトから経由してきました。
今後ともよろしくお願いします。
法人税率の引き下げが国民の利益を損なっていることを痛感していますが、それに気づかない人々に呆れています。
名前は伏せますがエコノミストで、企業の社会保険料負担を無視して「法人税を引き下げるべき」と言う人間がいることを知っています。
その人物が引用していた図表は、社会保険の企業負担を省略して法人税率だけという代物でしたので、欺される人は少なからずいるでしょう。
投稿: ヒイロ | 2010年3月30日 (火) 23時05分
ヒイロさん
ようこそ。
コメントありがとうございます。
非国民通信さんへは初めてトラックバックをつけさせてもらいました。
gooleとyahooの検索からほとんどのエントリが外されているので、あちこちトラバして回っております。
法人は、社員の生活に責任を持たなければいけないと思います。
今は、法人税を引き下げ、社員を使い捨てにして得た利益を役員と株主で分け合っているのです。大金持ちはより大金持ちに大金持ち以外は貧乏人になるようにしています。二極化させていますよね。
会社役員も株主も外国人が増えています。日本人の血と汗と涙の結晶の利益が、大量に外国へ流れていくシステムに小泉政権にされてしまいました。
自民党、みんなの党はわかっていてやっているのか、民主党はわかってなくてやっているのかその辺はわかりませんが、民主党もですが、政治家の脳みその貧困率がひどいです。これも官僚主導政治と従米で来たことの弊害だと思いますが。
御用エコノミストも結構活躍していますしね。
政権交代したとはいえ、日本国民は前途多難です。
この税制改革は、絶対に阻止しないと、日本はお終いだと思いますね。
今後ともよろしくお願いしたします。
投稿: ふじふじ | 2010年3月31日 (水) 22時29分
お久しぶりです。ツイッターでの、ご活躍も拝見しています。法人税についての、大塚氏の発言は、見ていました。「民主主義が、一度も無かった国」という、宮台氏、福山氏の本の中に、こんな記述があります。「子供手当てを、払うんだから、給食費未払いや、(困窮を理由にした)虐待は,許さない。」。大企業が、数々の優遇をうけながら、しゃあしゃあと、「日本は、法人税が高いから、出て行く」というなら、「では、外国と同じにしましょう。しかし、今までのような、甘えも、許さないし、社会保険負担率も、外国並にしてもらいますよ」という、「民主主義」の公平さ、厳しさの始まりでは、ないでしょうか?。税収減と言いながら、保険料、年金など、国民負担率の高さを、もっと、もっと、ネットの中で、広めるべきです。菊池氏の著書の中での、予算に占める、消費税の割合や、相変わらず、きちんと公表されない、特別会計。国民新党の言う、景気対策をするのは、「中抜き」する、官僚制度を、粉砕してからです。今は、グズグズの民主党を責めることより、参院選に大勝して、「旧悪」が、二度と力を持たないように、小沢氏を、応援していきたいです。
投稿: うめ | 2010年4月 5日 (月) 09時40分
うめさん
コメントありがとうございます。
民主党や自民党議員は、資本主義と民主主義を混同しています。
日本は資本主義である前に民主主義の国なわけで、資本家だけが栄えていいわけではありませんよね。その辺の思い違いというのが、大塚議員など多くの議員に見受けられます。
民主党は自民党と違って「国民の生活が第一」と謳う政党ですから、必ずやわかってもらえるものと思っています。
国民の生活に大事なものは、以下の三つと思っています。
●大塚氏の言うのと逆向きの正しい税制をとるということです。国民生活がひっ迫してきたのは、税制よるものが大きいのです。
●労働基本法の順守です。製造業に派遣を認めない。ゼネコンは、戦後間もなくから、日雇いで大儲けをしてきました。こうした日雇いもなくする方向へ行かなくてはいけませんよね。
●官僚利権の排除。
民主党を私たちの政党として育てていき、国民が豊かに暮らせる国づくりをしていきたいと思っています。
投稿: ふじふじ | 2010年4月 5日 (月) 12時03分
お疲れ様です。
昔の経営者は、「どうせ税金に取られるくらいなら、」と従業員の福利厚生やらに使ってくれたんですけどねぇ、、
まぁ今の従業員も経営者並みに落ちているからどっちもどっちなのかもしれませんが、、、
(財閥系に派遣で行ってますが、、OTL、、つな感じw)
投稿: unimaro | 2010年4月 8日 (木) 21時55分
unimaroさん
コメントありがとうございます。
拙ブログのご紹介もありがとうございます。
従業員を豊かにすると巡り巡って企業が潤います。
従業員を使い捨てにいている現在は、その因果は不況となって企業に襲いかかります。
昔の日本人は、これがわかっていたのでしょうね。
昨今では、アメリカに留学、弱肉強食の思想を植え付けられた人物が帰国して、政・官・業を動かす中心なってきたものと思われます。
国民が、賢くなって、こうした政・官・業にノーを突きつけなくてはいけないと思います。
昔から、ゼネコン業界は、労働者を日雇いで賃金を格安でこき使い、莫大な収益を上げてきました。派遣は、ゼネコンの日雇いを製造業にまで広めたものです。製造業の利益を増やすためにしたものです。
日本の労働者が使い捨てにされて、企業が最大の利益を上げ、その収益は外国人役員や投資家へと流れているのです。
派遣労働は、許してはいけませんよね。
労働者は、正当な身分と収入を得る権利があります。
企業は、従業員に正当な賃金を支払ったうえ、「法人税」「社会保険料」を先進国並みに負担するのは当然なのです。
国際競争力は、教育の充実や福祉の充実で人々が豊かに生活できることで、層の厚い優秀な人材が輩出された結果向上します。
逆をした場合は、敗退するばかりと思いますね。
企業の国際競争力とは、人材の育成にほかありません。
小泉・竹中カイカクのような国民から略奪していく政府では、1億総貧乏の極貧国になり、優秀な人材は、ほとんど輩出されず、国は衰退していくことになるでしょう。
投稿: ふじふじ | 2010年4月 9日 (金) 18時34分