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高水温に強いアコヤガイへ 種苗生産技術を開発…三重大と県水産研

 
アコヤガイの閉殻力を調べる石川さん(手前)と青木さん

 三重県水産研究所(志摩市)と三重大学生物資源学部が、科学技術振興機構の支援を受けて進めていた、高水温に強い「スーパーアコヤガイ」づくりに向けた種苗生産の技術を開発し、志摩市阿児町で開かれた研究成果報告会で発表した。研究所に隣接する県栽培漁業センターでアコヤガイの種苗(幼生)の生産を始め、4月下旬から試験的に養殖業者に出荷する予定。

 研究発表をしたのは、同大大学院生物資源学研究科研究員の石川卓さん(35)。研究テーマは「アコヤガイの選抜育種技術の開発」で、主任研究員の青木秀夫さん(43)と取り組んだ。水温が高くなって貝のへい死率が上昇する夏場に強いとされる閉殻力(二枚貝が貝殻を閉じる力)が強いアコヤガイと、弱い貝を別々に交配させて計約1200個の種苗を生産し、その生育状況を2007〜09年、志摩半島の英虞湾で見守った。

 その結果、貝殻の大きさや形に関係なく、閉殻力が強い貝ほど栄養状態が良く、真珠の輝きに関係が深い真珠分泌能力も高いことが判明した。また、夏場のへい死率も、従来の貝に比べ、約50%も低かった。

 今月3日、えりすぐった貝を選んで交配、産卵させ、貝の幼生を育成中。来月下旬以降、2ミリほどになったところで出荷するという。

 石川さんは「閉殻力は遺伝することが分かっており、今後、閉殻力の強い良質アコヤガイを育て、実用化を目指したい」と話している。

2010年3月24日  読売新聞)

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