佐用豪雨から4カ月 不明の2人の家族ら懸命捜索
2009/12/04 15:41更新
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■ミットが待っているよ…男児の祖父
■僅かな望み 生きて…女性の母親
8月の台風9号に伴う豪雨で死者18人を出すなど大きな被害を受けた兵庫県佐用町で、小学生の男児と英会話講師の女性の行方がいまだに分からない。豪雨から9日で4カ月。手がかりが日に日に乏しくなるなか、家族らは「一日も早く見つけたい」と、今も懸命に捜索を続けている。
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記事本文の続き 男児は町立幕山(まくやま)小学校の4年、小林文太君(10)。豪雨当日、母親と2人の姉と一緒に避難中、用水路に転落し、行方不明になった。
文太君は地区のソフトボールチーム「幕山アストロズ」に所属。ノック練習で強いゴロを処理でき、バッティングマシンの速い球をしっかり捕れるようになり、5年生から正捕手を任されることになっていた。
捜索活動を手伝っているチームの吉田征志監督(38)には忘れられない光景がある。4月の地区対抗試合。打席に入った文太君は簡単にツーストライクをとられ追い込まれた。「打つ気があるのか」と気合を入れると、きりりとした表情に変わり、その直後にタイムリーヒットを放った。
吉田監督は「負けん気が強く、ここぞというときにやってくれる子だ。まだ何も見つかっていないので何もしてあげられないことが悔しい。チームメートも同じ思い」と涙を浮かべる。
文太君はプロ野球阪神の赤星憲広選手のファンで、毎年甲子園球場に試合を見に行くのを楽しみにしていた。豪雨後、8月15日の文太君の誕生日にプレゼントされたキャッチャーミットは、新品のまま祖父、武さん(68)の家に置かれている。懸命に捜索を続ける武さんは「一日も早く見つけて、みんなを安心させてあげたい」と願う。
もう一人の英会話講師は岡山市の蜂須賀貴子さん(32)。豪雨当日は岡山県美作市で仕事を終え、マイカーで自宅へ帰る途中、車ごと川に流された。
蜂須賀さんの母、松尾恵子さん(69)と姉の正野由佳さん(34)は、住まいがある大阪府高槻市から2週間に1度は佐用町を訪れて情報提供を呼びかけている。松尾さんは「あの日、無理して仕事をしていなければと今も考える。わずかな望みかもしれないが生きていてほしい」と訴える。
佐用署が11月29日に行った捜索活動には、蜂須賀さんの同僚も岡山から訪れ、捜索に参加した。
同僚の女性(31)は「気持ちの整理がまだつかない。ひとつでも手がかりがほしい」と話している。
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