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豪雨被害で慰霊祭 兵庫・佐用町
8月の台風9号に伴う豪雨災害で、18人が死亡、2人が行方不明になっている兵庫県佐用町で6日、町主催の慰霊祭が行われ、参列者が犠牲者の冥福(めいふく)を祈り、行方不明者の早期発見を願った。しかし、災害当時の町の対応に抗議して参列を見合わせる遺族もおり、今も癒えることのない悲しみに苦しんでいる。
町さよう文化情報センターで行われた慰霊祭には、犠牲になった9遺族70人と行方不明者の家族や友人ら計約400人が参列した。
祭壇には犠牲者の塔が設置され、参列者全員で黙●(=示へんに寿の旧字体)(もくとう)をささげた後、次々と菊の花を献花し、手を合わせた。ハンカチで涙をぬぐう遺族の姿もあった。
庵逧(あんざこ)典章町長は「多くの尊い命が失われ、いまだ2人が行方不明になっていることは町政の最高責任者として痛恨の極み。今後は町民と一丸となって、かけがえのない命を守る災害に強い町にする」と復興に向けて決意を述べた。
母親の中野房子さん=当時(81)=を亡くした次男の恵介さん(54)は「今も悔しい、無念という思いがある。人命を第一に考える防災対策を町に求めたい」と涙を流しながら強く訴えた。
また、行方不明になっている岡山市の英会話講師、蜂須賀貴子さん(32)の母、松尾恵子さん(69)は大阪府高槻市から駆けつけた。「娘は今もどこかで生きていると希望を持っている」と話した。また、夫を亡くした妻は「夢だったら覚めてほしい。今も家の階段をあがってくる足音が聞こえる」と涙を浮かべた。
一方、義理の娘と孫を亡くし、別の孫1人が行方不明となっている小林武さん(68)は慰霊祭には参列しなかった。佐用町の自宅前で取材に応じた小林さんは「豪雨当日、町は避難勧告をなぜ、あの時間に出したのかといった検証が進んでいない。町への批判を込めて欠席した」と述べた。