幕末の砲台跡が和歌山県文化財に

　和歌山県教育委員会は20日、幕末期の砲台跡、雑賀崎台場（和歌山市雑賀崎）を県文化財に指定した。史跡の指定は93件目。砲台跡では初めて。県文化財は５４３件となった。

　幕末期は外国船が日本近海に出没し、幕府の対外政策が強化された。紀州藩もペリー来航（１８５３年）以降、海防対策を進め、和歌山城に近い海岸部に約30カ所の台場を設置した。

　雑賀崎北端部、紀伊水道に突出した通称「トンガの鼻」にある雑賀崎台場はそのうちの一つと考えられている。指定面積は４６７平方メートル。

　県教委文化遺産課によると、台場は緊急時のみの仮設が多く、すぐに取り壊されるため現存するものが少ないという。

　雑賀崎台場は台場の形状、砲台となった石垣や土塁がよく残り、２００７年度に行った和歌山市教委の発掘調査で、規模や内容が判明している。

　同課は「江戸時代後期の紀州藩の海防政策を知ることができる数少ない史跡として重要」と話している。

【雑賀崎台場に残る砲座跡と思われる石積み】

(2010年04月21日更新)

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