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チリ大地震津波 激甚災害指定 補助基準、疑問の声も

浦戸ではロープを編んでノリ養殖施設作りが始まった=塩釜市浦戸桂島

 チリ大地震津波で被害を受けた宮城県内の養殖施設に対し、政府は20日、激甚災害法の適用を決めた。従来と比べ基準が緩和され、復旧を急ぐ漁業関係者は安堵(あんど)の表情を見せた。具体的な被害査定や市町村ごとの指定は今後決まるため、浜からは「できるだけ幅広い救済を」との声が上がる。漁業者を側面支援してきた流通業者は「激甚指定を契機に災害に強い漁業を展開してほしい」と要望した。

 「適用されれば復旧のペースがある程度早まることは間違いない」。女川町のホタテ養殖業者伊藤和幸さん(61)は激甚指定の決定を喜んだ。
 伊藤さんが所有するホタテ養殖いかだ13基のうち7基が津波で使えなくなった。同町の被害は一部に集中し従来の指定基準では救済されない恐れもあった。
 要件緩和を国に働き掛けた県漁協の阿部力太郎理事長は「復旧資金のめどがつけば、浜に活気が戻るはずだ。国会議員や知事、関係自治体の首長らにお礼申し上げたい」と感謝した。
 対象となる自治体や養殖施設を確定するための査定は今月末にも始まる。実際に補償対象となるかどうか、不安を隠せない漁業者は多い。
 ノリ養殖いかだがほぼ全滅した塩釜市浦戸地区。「ノリのいかだは1基当たりの単価が安く従来基準では対象外になる。認定されるよう要請を続け、次世代の負担を少しでも減らしたい」。県漁協浦戸支所の千葉真澄運営委員長は力を込めた。
 東松島市ではノリ養殖施設の被害額が補助基準(2000万円)に満たなかった。県漁協宮戸西部支所の尾形一男運営委員長は「やむを得ないが、基準根拠に疑問がないわけではない。業界として見直しを働き掛ける必要があるのでは」と疑問を呈した。
 今回の津波被害では養殖施設に対する共済制度の加入率の低さも浮き彫りになった。県によると県全体の加入率は約28%。県漁協唐桑支所の立花博運営委員長は「今の制度はハードルが高い。宮城沖地震の津波も予想されており、入りやすい制度をつくってほしい」と訴える。
 緊急の販売促進セールや店頭での募金活動などで漁業者を支援したみやぎ生協(仙台市)の斎藤昭子理事長は「消費者も漁業者とともに三陸の豊かな海を守っていきたい。今回の津波を教訓に災害に強い養殖漁業を目指してほしい」と話した。


2010年04月21日水曜日

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