火災:鴻臚館跡調査事務所が半焼 一部出土品被害か 福岡

2010年4月16日 9時35分 更新:4月16日 10時26分

鴻臚館跡調査事務所内を消火する消防士=福岡市中央区城内で2010年4月15日午後8時11分、金澤稔撮影
鴻臚館跡調査事務所内を消火する消防士=福岡市中央区城内で2010年4月15日午後8時11分、金澤稔撮影

 15日午後7時半ごろ、福岡市中央区城内の鴻臚館(こうろかん)跡調査事務所から出火、プレハブの平屋事務所約125平方メートルを半焼した。けが人はいなかったが、発掘調査の出土品の一部が焼けた可能性がある。14日早朝には、約500メートル離れた福岡城跡の「名島門」でも不審火があり、福岡・中央署が関連性を調べている。

 同署や市教委によると、出火当時は無人で、火の気はなかったという。建物には平日は職員ら4~5人が常駐しており、15日は午後5時40分ごろ、職員がシャッターに鍵をかけて警備会社に連絡した後、帰宅した。異常はなかったという。約2時間後、散歩中の女性が建物から煙が出ているのに気づき、119番した。現場に立ち入った福岡市職員によると、火は外側の壁づたいに燃え上がり、天井を伝って広がった可能性があるという。

 鴻臚館は、飛鳥時代から平安時代の約400年間、大陸からの外交使節らをもてなした「古代の迎賓館」。京都や大阪にもあったとみられるが、87年に平和台球場の外野席改修工事で遺構が見つかった福岡だけ場所が特定できた。福岡市は同年冬から発掘調査を始め、現在も継続中だ。

 事務所は発掘調査や報告書作成のため、資料や遺物を一時保管したり、欠けた遺物の修復作業をするために建てられた。

 市教委は事務所に保存していた資料の内容を確認中だが、これまで蓄積してきた24年分の資料の一部が被害に遭った可能性がある。少なくとも出火当時は、昨年から今年にかけて出土した瓦や中国の陶磁器の一部など複数の出土品が保管されており、測量図面や出土状況などを記した資料も保存されていたという。

 市教委によると、被害に遭ったのは事務所奧の倉庫部分とみられる。倉庫部分には91~92年ごろの出土品を入れたプラスチックのコンテナ約500個が置かれていたが、溶けているのが確認された。また、発掘現場の測量図は消火作業中に水をかぶったという。

 火災の一報を受け、市教委は慌ただしく対応に追われた。名島門に次ぐ「第2の火災」発生に、職員は「外からの火か」「どうなってるんだ」といらだちを募らせていた。【鈴木美穂、門田陽介】

文字サイズ変更
この記事を印刷

PR情報

 

おすすめ情報

注目ブランド