社会
電車衝突のマンション 遺族の4割「保存望む」
事故現場のマンションをどうするか。被害者から多様な意見が出ている=尼崎市久々知3(撮影・田中靖浩) |
尼崎JR脱線事故5年を前に神戸新聞社が実施したアンケートで、電車が衝突したマンションの今後について、遺族と、事故車両の乗客のいずれも約40%が、何らかの形での保存を望んでいた。事故2年のときに乗客で最多だった「取り壊す」は減少傾向。JR西日本は「被害者に多様な意見がある」として方針を決めていないが、アンケートには意見の集約を求める声もあった。
マンションは9階建てで、事故後、JR西が買い取り、管理している。
今年のアンケートは遺族64人、乗客90人が回答。マンションの保存や取り壊しなど6項目を挙げて尋ねたところ、遺族も乗客も、ほぼ同じ割合で意見が分かれた。「その他」では、遺族を中心に「考える気持ちになれない」「マンションは第二のお墓。今は絶対に触るなと思っている」といった強い思いも聞かれた。
事故2年のとき、乗客は「取り壊す」が42・0%で最多だった。遺族は「保存」が35・5%で最も多く、乗客との意見の相違が見られた。その後、乗客は年々「取り壊す」が減り「保存」が増えた。
精神的な影響が残る負傷者からは、今年も「早く壊してほしい」「電車から見えないように」との声が出た。一方で、慰霊の場を望む人が乗客、遺族とも目立ち、阪神・淡路大震災の死者を悼む神戸のモニュメントを例に挙げる人もいた。
子どもを亡くした女性(49)は「来年は七回忌。命の意味を伝える追悼碑があってもいいと思う」と記した。息子を失った男性(72)は「ほったらかしはひどい。JR西は意見がまとまらないというが、まとめられる場を設けてほしい」と訴えた。
JR西は、マンションを含む事故現場の扱いについて「大きな課題だが、いろいろな声がある。周辺住民の意見も踏まえ慎重に検討したい」としている。
(石沢菜々子)
(2010/04/21 11:45)
社会
- 神戸も仲間入り ミシュランガイド、10月出版(4/21 19:35)
- 「被害者と真摯に向き合う」 JR西社長が会見(4/21 19:11)
- JR西、緑の座席運行開始 尼崎脱線事故で色変更(4/21 12:37)
- 電車衝突のマンション 遺族の4割「保存望む」(4/21 11:45)
- 指定弁護士、公訴時効停止主張へ 明石歩道橋事故(4/21 06:00)
- 農山漁村地域活性化へ 兵庫県が実践団体に助成(4/21 11:20)
- EU大統領が神戸大で講演へ 震災関連施設視察も(4/21 10:40)
- 震災の証言、年内出版 09年度研究成果まとめる(4/21 10:03)
- 歩道橋事故遺族が講演 事故原因究明勉強会 東京(4/20 22:03)
- 播磨灘で初のクラゲ退治 姫路・坊勢漁協(4/20 21:35)