舛添要一前厚生労働相(61)が自民党を離党し、週内にも「舛添新党」を旗揚げすることが21日、分かった。夏の参院選で民主党の単独過半数を阻止するため、谷垣自民党に執行部刷新を訴えてきたが、もはや自民党は古い体質から抜け出せないと判断したためだ。国民人気抜群の舛添氏が「第三極」として参戦することで、夏の参院選やその後の政界再編にも大きなインパクトを与えそうだ。
関係者によると、舛添新党に参加する現職の国会議員は10人程度を予定。自民党のほか、自民党と連立会派を組む改革クラブ所属の議員も加わるという。ゴールデンウイーク前にメンバーとともに集団離党および結党を行う予定で、早ければ週内にも行われる見通しだ。
結党時の参加は見送られるものの、民主党議員にも結集を呼びかけ、同党内を揺さぶる構え。参院選では選挙区・比例を合わせて最低30人程度の擁立を目指すという。
政策面では、経済成長を重視するため構造改革路線の促進や企業・団体献金の廃止などを旗印に掲げ、民主でも自民でもない無党派層を中心に取り込む作戦だ。
舛添氏は今年2月、党内に政策グループ「経済戦略研究会」を発足させ、約25人が所属。「研究会でまとめた党再生の提言を党執行部にぶつけ、党執行部刷新を通じて自民党総裁を目指す一方、受け入れられなかった場合は新党も視野に入れるという二方面作戦をたてていた」(舛添氏周辺)という。
ただ、舛添氏は世論調査で「首相にふさわしい政治家」ナンバーワンという評判とは裏腹に、「お山の大将のような性格だけに、新党を結成しても仲間は集まりにくいのでは」(自民党中堅)との見方が強く、「自民党を居抜きで乗っ取ることに軸足を移しつつある」(同)とみられていた。
しかし、谷垣禎一総裁が一度は決意した抜本的な党改革を断念したことや、先に地域政党「大阪維新の会」を旗揚げした橋下徹・大阪府知事や東国原英夫・宮崎県知事ら人気知事と会談したことで、状況は一変。一気に新党結成への舵をきった模様だ。
実際、橋下知事は14日、舛添新党発足の場合は「夏の参院選で大阪維新の会が応援することもある」と連携を示唆している。
さらに、東国原知事との会談についても、舛添氏は「新党の話なんて『し』もしてない」と否定したが、「本当は新党結成の際には地方分権などで連携できるとの感触を得たのでは」(永田町事情通)との見方が根強い。
舛添氏周辺も「自民党再生のために提言をまとめようと模索してきたが、いっこうに変わる気配はなく、ブーイングばかりの自民党に見切りをつけたのではないか。人気知事との連携ができそうな感触も得ており、新党結成を最終的に決断した」と打ち明ける。
さらに、「新党結成を決断した伏線は今月14日の静岡市での講演に、ヒントが隠されていた」と指摘する。
この講演で舛添氏は「私は国の形を大きく変え、そして地方の形も変えていく。要するに日本を救わなくてはいけない。鳩山由紀夫氏に首相を任せていては、この国はつぶれる。だから全力をあげて引きずり降ろす、倒すのだ」と打倒民主を宣言。その一方で、「普天間問題で鳩山内閣が退陣し、頭(首相)が変わり雰囲気が変わる。さあ、自民党が勝てますか? なぜ野党に転落したかという反省がなければ自民党に明日はない。やはり党執行部に危機感が足りない」と、自民党に三下り半を突きつけたともとれる発言をしていたのだ。
民主党に亡国の危機を感じつつ、旧態依然の自民党には愛想を尽かした舛添氏。国民的人気をバックに旗揚げする新党は参院選の超ド級の「台風の目」になるのは間違いない。