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吉田 孝行(大分トリニータ)「「1」を目指して」

記者 ――昨シーズン、横浜F・マリノスから大分への移籍を決断した理由は?
吉田 横浜では、ケガもあったし、自分自身の状態も良くなかったのでて試合になかなかでることができなかった。そんなときに大分から移籍の打診があったので、環境を変えて新たなチャレンジをするには、いいタイミングだと思いました。
記者 ――「期限付き」ではなく、「完全移籍」を選択した理由は?
吉田 大分からは「1年半の期限付き移籍で」と言われていたのですが、横浜側は「少し長い」という受け取り方でした。僕自身としてはそれほどまでに自分を欲しがってくれているチームならばと、完全移籍という決断をしました。
記者 ――奥さんにも相談を?
吉田 家内は実家が横浜ですから、そこを離れることに多少の不安はあったと思いますけど、試合に出ることができるのなら私は構わない、というようなことを言ってくれました。ありがたく思っています。
記者 ――ここまでやってきて、大分というチームの感想は?
吉田 これまで僕がプレーしてきたチームのなかで大分はフィジカル・トレーニングが一番ハードです。シーズン中もフィジカル・トレーニングにかなりの時間を割きます。
吉田 孝行
記者 ――その成果は昨シーズン中、感じることはできましたか。
吉田 最初は戸惑いましたが、慣れてくるころには試合中に「強くなったな」と実感できるようになりました。成果は感じています。
記者 ――石崎監督はどんな人ですか。
吉田 非常に厳しい。だから自分のためになる。僕は強く言われないとやらないタイプなので、厳しく言ってくれることはありがたい。妥協せずにやっていけています。監督は常により高いレベルを求める。フィジカル・トレーニングもかなりつらいのですが、「もっとやった方がいい」と言われるとやる気になる。やる気にさせてくれる、選手をノセせてくれる監督です。
記者 ――怖い?
吉田 怖いのではなくて、厳しい監督です。
記者 ――大分での暮らしは?
吉田 横浜とは大きく違いますね。本当にやることがないんです(笑)。買い物は福岡まで出たり、家内の実家の横浜に帰ったときにしたり。でも大分はすぐ近くに温泉があるのがうれしい。大好きなんですよ、温泉が。湯布院とか日帰りでよく行きます。
記者 ――そうすると、サッカーに打ち込める環境ですね、大分は。
吉田 今は結婚していますからどこにいてもサッカーに打ち込める環境にありますが、独身だったら、やっぱり大分の方がサッカーに集中できるんだろうな。
記者 ――昨シーズンは悔しい思いをしました。
吉田 大分に入ったのは昨シーズンの途中からでしたが、昇格できなかったことは素直に悔しかった。シーズンの最初からいたら、もっと悔しかったのかもしれませんが…。
記者 ――昨シーズン、昇格を逃した理由は何だと思いますか。
吉田 途中で1位、2位のチームに大きく離されて、あきらめかけたところがありました。それに浦和には1回も勝てなかったし、上位チームになかなか勝てなかった。下位チームにもとりこぼすこともあった。そのあたりが昇格を逃した原因だと思っています。
記者 ――浦和に勝てなかったのは、確かに痛かったですね。
吉田 浦和戦の4試合のうち僕は2試合に出場しました。チームの調子が良くなかったこともあったのでしょうが、アウェーではあの大勢のサポーターに圧倒されて…。雰囲気にのまれた感じもありました。今年からうちに来ているクビツァが、僕たちとやるときには、なぜか調子がいいんですよ。
記者 ――昨シーズンでの吉田選手の役割は?
吉田 2列目か1・5列目の位置にいて、ポストプレーヤーの周りを動き回るというのが攻撃するときの僕の役割でした。前で張ることも自分としてはできないことはないのですが、このチームは体の大きな選手を置いて、その回りを僕のような選手が動いた方がいいだろうという、考えですね。
記者 ――シーズン途中からの加入で、むずかしい面もあったのでは?
吉田 最初は練習についていくのが大変で、試合の中でもいいプレーができませんでした。ですがチームメートにもなじんで連係も取れるようになると徐々に良くなりました。特にリーグ終盤に入ってからは。
記者 ――大分のサッカーの特徴は?
吉田 大分は11人全員でディフェンスするチーム。ディフェンスに関しての要求は厳しいし、約束事も多い。結構キツイですが、それさえしっかりこなせば、攻撃に関しては自由にやらせてもらっているので、自分としてはやりやすい。
――今季の戦術に変化はありますか。

攻撃のやり方は今シーズンも基本的には変わらないと思います。ただ補強で「人」が変わりましたから。例えば昨年はウィル(現札幌)の個人技を生かすことが多かったのですが、今年はみんなでもっと多くのパスをつなぐ形になると思います。ウィル一人に頼ると、やっぱり彼の調子が悪いとチーム自体の調子も悪くなる傾向にあったので、全員でボールをどんどん回していく方がいい攻撃の形が作れると思います。
記者 ――補強でメンバーが変わると不安な面もあるのでは?
吉田 多少は増えましたね。
記者 ――落ち着かない。
吉田 確かに顔ぶれが変わると連係の面で不安がないわけではありません。だけど司令塔となる崔(大植)さんは僕の「スピード」を生かしてくれる選手。プレーのほとんどがワンタッチかツータッチで、とても球離れが速い。僕が走ればいいボールを出してくれる。韓国代表としても実績のある選手なので、勉強にもなります。崔さんとの関係は、これから良くなると思うので、僕自身は楽しみにしています。
記者 ――崔文植選手とのコミュニケーションは?
吉田 僕は韓国語がわからないのですが、崔さんがこちらに来る前に多少日本語を覚えてきてくれたので、なんとかコミュニケーションは取れています。
記者 ――今季まずはレギュラー確保ということでしょうが、ライバルは?
吉田 ライバルとなるのは川崎元気、庄司さん、松橋とかも入ってくるし、崔さんも、ですね。
記者 ――自信は?
吉田 自信がないといいプレーもできないし、プロでやっていけないと思っていますから、ありますよ、自信は。
記者 ――昇格を目指すにあたってのライバルチームは?
吉田 すべてのチームでしょう。
記者 ――特に挙げるとすれば?
吉田 昨シーズン実際に戦ってみていいチームだなあと思ったのは大宮。パス回しがうまかった。そしてバルデスが入ってきましたよね。攻撃力がアップしているはずですから、要注意ですね。フロンターレもエメルソンが入ったし…、やっぱり全チームですね、ライバルは。
記者 ――開幕に向けての抱負を。
吉田 今年の大分は前評判も高いですから、なんとしても昇格しないといけないと思っています。またJ1でやりたいですからね、僕自身も。チームメートも皆、僕以上にそれぞれ悔しい思いをしてきていますから、昇格への思いは強いはずです。確かにプレッシャーは感じます。しっかり実力を出し切れば今年のチームは昇格できると思うのですが…、そのプレッシャーを克服していかないといけませんね。フロントの方も言っているように今年は2位以内を目指すのではなくて、1位に、優勝してぜひJ1に上がりたいですね。

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吉田 孝行

プロフィール

1977年3月14日、奈良県上牧市生まれ。上牧小4年のときに上牧FCでサッカーを 始め、上牧中では同校のサッカー部に所属。2年時に兵庫県川西市立東谷中に転校、滝川ニ高に進学したあたりからアタッカーとして開花し、2年時にU−17日本代表に 選出、日本でのU−17世界選手権に出場した。卒業後の95年に横浜フリューゲルスに入団。99年の元日を最後に横浜Fが消滅、吸収合併された横浜F・マリノスに移籍。 2000年6月にJ2の大分に完全移籍。FWとしてのレギュラーポジションを獲得して6得点を挙げる活躍を見せたが、チームは2年連続でJ1昇格を逃した。大分2年目の今シーズン、優勝した上での昇格を目指す。J1通算92試合、11得点。J2通算20 試合、6得点。172cm、63kg。


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