「ニュー・メタフィジックス」(new Meta-Physics)
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訳者前書き。ーーーーこの本の理解の助けに −−−−
本書の原題も邦題と同じく『ニュー・メタフィジックス』と言います。
メタフィジックスと言う言葉は辞書を引くと形而上学などという言葉が出てきます。
しかし「メタ」とは「超えた」という意味であり、「フィジックス」とは物理学、また、「フィジカル」には
肉体的などの意味があり、メタフィジックスとは超物理学、超自然学、精神世界、肉体を超えたもの、
超心理学のなどの意味に取られます。実際、原書の本文中では、そのように様々な意味に引っ掛けて
この言葉を使っています。日本語ではやむを得ず、その場に応じた言葉に直してあります。
せっかくのタイトルの言葉が本文中では使われないことになってしまいましたが、
この「ニュー・メタフィジックス」を、日本語に直すとしたら「新しい精神世界ーーーー超物理学との出会い」
とでもなるでしょう。
この本の翻訳には約2年の月日を費やしました。この間『バシャールB』や『ルーンの書』(共にヴォイス 発行)
などの翻訳もありました。その中でもこの『ニュー・メタフィジックス』は、いままでのバシャールの
本とは内容的にとても異なっています。「精神世界」や「輪廻転生」の章だけでなく、
最後の「鋳型の超物理学(テンプレート・メタフィジックス)」などに至っては、
物理学の統一場理論において統一すべき力は6つあると言明しています。
以前科学をかじった私は、こういう物理的な分野の情報に接すると、それまで疲れていた脳が
イキイキして翻訳が進みました。
「宗教」の章は聖書の知識が少しあるとよく理解ができると思います。第7章では数式も使われ、
ダイナミック・テンソルなどという概念的にはつかみにくい数学または物理学用語と考え方も出てきます。
この章は数学や物理をかじったことのない人には少し難解です。しかしチャネリングでこのような情報が
くること自体が 驚きといえます。例えば、
X+Y+Z+T+(−X)+(−Y)+(−Z)+(−T)=0
という数式は、普通に見ると、「何だ当たり前じゃないか。これにどんな意味があるというのだ」と
思うかもしれません。これを少し書き直すと、
[X+(−X)]+[Y+(−Y)]+[Z+(−Z)]+[T+(−T)]=0
ともなります。これを、意識の世界の解釈に当てはめてみると次のようになります。
(これはあくまい゛も訳者の解釈であることをここで断っておきます)。
[ ]の中はそれぞれゼロになって、その中で二極分化していることになります。
すなわち無であり同時に満たされているわけです。そして、この世の中には、極端なXの分だけ
(ーX)も散在することを表していると言えます。Xを暴力的な性格だとすれば(ーX)は
暴力を嫌う性格となります。結局、自己の中に抑圧し、判断している部分と他人に鏡として反映することを表しています。
このように、この数式は、自己の内にその両方の部分を認め、統合(X+[ーX]=0)していくときに、
初めてワンネス(ゼロ)に帰することができるということを表しているわけです。
この数式の物理学的な意味は第7章に書かれています。そのうちに、現在の数学で使っている数字や
記号の代わりに象形文字のような記号が使われるようになり、数式に意識の状態も表されるように
なってくるとバシャールは述べています。
翻訳にあたって、訳注をどの程度加えるかということに関して、ヴォイスの担当者と何回も話したのですが、
あまり専門的な言葉は、説明を加えると長くなり切がないと、説明しても分からない
(テンソルという単語などは最たるもの)ということで 最小限にとどめました。
ですから、分からない言葉が出てきたときには、感覚的に読んでいただきたいと思います。
そうすれば、この本の全章を役に立たせることができるでしょう。
この本を最初に読んだ時、「ニューエイジのバイブル的な本だな」と思いました。
ニューエイジのバイブル的な書物は、『ア・コース・イン・ミラクルズ』という素晴らしい本があります
(まだ、日本語には訳されていません)。それとは別の意味で本書は、短いにもかかわらず、
新しいものの見方を示唆するものであり、何かの折に開いて見るのに、本棚に一冊置いておきたい本だといえるでしょう。
本書はダリル・アンカ氏の初期のチャネリングからの情報であり、バシャールと宇宙連合の言葉にもあるように、
原文の文章は固く翻訳しずらいものでした。できるだけ、その固さをとったつもりですが、
いまだ読みにくい箇所がありましたらご容赦願いたいと思います。ダリルの公開チャネリングに
出席されたことのある方はご存知だと思いますが、現在の彼のチャネリングは非常に分かりやすく
スムーズなものとなっています。
また、翻訳中に、本書を書き留めたまーゴ・チャンドリー博士が病気のため亡くなりました。
彼女の勇気ある探求と本書を残すという試みに感謝をし、ご冥福を祈りたいと思います。
それと同時にこの本の翻訳、出版に携わってくださったヴォイスのスタッフ、
特に辛抱強く付き合ってくださった担当の佐藤恵美子さんに感謝します。
この本の内容と愛と分かちあいのバイブレーションが必要なだけ皆さんの「知っている部分」と
共鳴することを祈って。
1991年8月
関野直行
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