3年前のNOVAに続く英会話学校の破綻(はたん)に、受講生や職員には困惑が広がった。21日明らかになった英会話学校大手ジオスの破産申請。校舎の出入り口には生徒に臨時休校を知らせる紙が張られ、職員は「お話しできることはございません」。ホームページ上では「事業継続に最大限協力していく」との意向を示しているが、先行きは見えず、不安の声が上がっている。
「生徒や関係者の皆様に大変ご迷惑をおかけし、申し訳ない」。東京都内で記者会見したジオスの田渕雅之執行役員は謝罪した。
保全管理人の小林信明弁護士は「生徒への影響を最小限にとどめることが最重要。授業はいったん中断するが、23日ごろには再開したい」と説明した。
しかし、現場には混乱が広がっている。
大阪市中央区のジオスなんば校を訪れた受講生で、大阪市浪速区の飲食店アルバイト、浜咲宏美さん(25)は「前週の授業では何も言われなかったので、びっくりした」と驚いた様子。今後1年間の受講料約25万円を支払ったばかりといい「お金が戻ってくるのか不安」と心配そうに話した。
閉鎖予定とされた東京都内の教室で講師を務める30代女性は「まだ状況が把握できていない。パニック状態です」。
破産手続き開始については、午前10時ごろから行われたネット上での社内の会議で知ったという。
女性は「生徒にどう伝えればいいのか。(本社に)早くきちんとした対応法を知らせてほしい」と不安をあらわにした。
他の業者に事業譲渡予定の高田馬場校(新宿区)では、入り口に「生徒様各位 臨時休校のご案内」と題したA4判の張り紙が出された。22日までの臨時休校を知らせるとともに、レッスン再開予定については「追ってご連絡させていただきます」と記されていた。教室の入り口は施錠された状態で、人の出入りは見られなかった。
閉校予定のジオス田町駅前校(東京都港区)の入り口ドアにも同様の張り紙が掲示された。
ジオスは過去、倒産した同業者の受講生を積極的に受け入れてきた経緯がある。94年、80億円の負債を抱えて倒産した「バイリンガル」(東京都港区)の生徒約1000人の受け入れを決定。07年に「NOVA」(大阪市)が経営破綻した際も、約3000人を引き受けた。
毎日新聞 2010年4月21日 東京夕刊