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なるか「大阪都」構想 橋本新党 行方占う来月補選

なるか「大阪都」構想 橋本新党 行方占う来月補選 19日設立された地域政党「大阪維新の会」。維新の会の狙いは来春の統一選で、府議会や大阪市議会で過半数を獲得し府市再編を実現することだ。府を「都」に変えるという大掛かりな構想で、その実現のハードルは決して低くない。橋下徹知事は今月14日の記者会見で「これまでは府政運営という行政の事柄にとどまっていたが、今回の目的は都市改造。まさに政治闘争だ」と強い決意を示した。橋下新党の動向が今後の大阪の浮沈のかぎを握る可能性もある。

 ■高いハードル

 大阪維新の会が提唱する「ワン大阪」は、大阪府と大阪市など中心部の市を再編し、行政の効率化を図る目的がある。東京都をモデルに大阪、堺両市や周辺の9市を20万~30万人の特別区に再編し20区を設置。区長を公選にする構想だ。

 橋下知事は「東京は中学校まで医療費の負担や給食をやっているところもある」と特別区の利点を強調するが、関係各議会で新党議員が多数を占めてもすぐに都に転身できるわけではない。大阪を都制に移行する場合、国の特別法の制定が必要となるほか、関係する各市で是非を問う住民投票といった複雑な手続きが必要で、大阪都実現にはいくつものハードルがある。

 ■2つの党籍

 橋下新党には国会議員はおらず、民主党や自民党といった政治資金規正法上の「政党」ではなく、大阪を活動拠点とする政治団体に位置づけられる。このため、参加議員の大半は中央政党の党籍を持ったまま新党に加わった。

 自民党大阪府連の横倉廉幸幹事長は「参加議員の多くは自民党籍があるが、もし、参院選で自民党員にもかかわらず他党の候補を応援することがあれば、厳正な処分を考えないといけない」と牽制(けんせい)。民主党大阪府連の森本實事務局長も「参加者は統一地方選を優位に戦いたいということだけでは。新党に賭けるのなら、ちゃんと離党すべきだった」と突き放した。

 また、公明党の小笹正博大阪府本部幹事長は「市民生活に根ざした教育や福祉といった政策の内容も分からず『ワン大阪』という理念だけで、公明が維新の会と連携することはありえない」。共産党のある議員も「東京と大阪では税収が違いすぎる。同じスキームでやるには無理がある」と課題を指摘する。

 ■参院選と一線

 「補選がターニングポイントになる」。維新の会メンバーのひとりは、5月23日投開票の大阪市福島区の市議補欠選挙(欠員1)を最重要と位置づける。独自候補を擁立する予定で、新党としての初陣となる。大勝すれば、新党入りを望む議員が増える半面、敗北すればいきなり求心力に疑問符がつく可能性もある。

 新党サイドは水面下で補選の候補者選定を進めているという。これまで知事の側近や弁護士、落語家らの名前が浮上しているが「公募」も検討している。

 一方、橋下知事は参院選に積極的に関与する考えはないとみられ、山田宏東京都杉並区長らがつくる日本創新党とも一線を画すという。ある政党関係者は「維新の会には自民や民主に党籍があるメンバーがいるため、ひとつの党を応援はしにくいのではないか」と分析した。

橋下知事に「殴り返す」 民主党幹部から“圧力”

 橋下徹知事は19日、新党結成について「(民主党幹部から)『殴られたら殴り返す』といわれた」と言及。相手は政権与党の中枢人物で「圧力を受けた」という。

 報道陣から圧力をかけた相手は誰かという質問もあったが、橋下知事は「それを言うと(漫画「ドラえもん」の)のび太になる。『おまえ男やないやろ』と怒られる」と名前は明かさなかった。

 橋下知事は「民主党のなかでもバックアップしてくれる人もいる」として原口一博総務相や仙石由人国家戦略担当相、枝野幸男行政刷新担当相の名を挙げた。一方「そうでない人からは『殴られたから殴り返す』といわれた。しようがないですね」と述べた。

 また、橋下知事は「公務員の職員組合から支持を受けていたら何もできない」と民主党を非難。「政府の地域主権戦略会議のメンバーから外されても仕方がない」とした。

 平松邦夫・大阪市長の話 「橋下知事は歴史的に一体的に発展し、既に成熟している地域共同体の分割を伴う都制の導入という回り道に多大な労力をかけるのではなく、当初の信念に基づき、府県を発展的に吸収した関西州実現に一直線に進むべきだ」

 竹山修身・堺市長の話 「基本的な方向性は地域主権を推進し効率のよい地方政府を確立する私の考えと同じ。関西州や『一つの強い大阪』を作る過程で、南大阪地域が社会的、経済的再生を果たすためにも私が提唱する『堺都市州』の構想も有効ではないか」

【写真説明】発足式を終え、報道陣の質問に答える橋下徹知事と、「大阪維新の会」幹事長の松井一郎府議(左)=大阪市北区(大塚聡彦撮影)

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