ニコンDXフォーマット (APS-Cサイズ相当) 用の標準域ズームレンズで、開放F値の変わる比較的手ごろな価格のものは、これまで広角側で18mmがスタートラインだった(DX Zoom-Nikkor 18-55mm F3.5-5.6G II など)。だが、広角側をさらに2mm広げた 「DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6G ED VR」 が発売された。
大ベストセラーのDX VR Zoom-Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G (IF) は35mmフィルム換算で300mm相当の望遠が気軽に楽しめるが、「もう少しだけワイドが撮れたらな〜」と物足りなさを覚えたユーザーも多いのではないだろうか。そんなユーザーの思いに応えるかのように登場したのが、ここでテストする 「DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6G ED VR」 だ。
18mmから16mmへ、たかが2mmの違いと思われるだろうが、実際は結構な差が生まれている。35mm判に換算すると27mmと24mm。ふだんDXレンズではDX Zoom-Nikkor ED 17-55mm F2.8G (IF) を使う筆者であるが、広角側で表記上1mmしか変わらないにもかかわらず、よく撮影する場所からの風景の広がりかたがまるで違った。
FXフォーマットの撮像素子のカメラに比べれば、まだまだノイズレベルでかなわないDXフォーマット一眼レフカメラ。標準ズームゆえにマルチに使われる宿命からして、あと2/3段明るく、さらに5〜6cm寄れると良かったが…。
では撮影の結果を報告しよう。ズームレンズの場合、とくに広角からはじまる高倍率のズームレンズで気になるのは、ディストーション (歪曲収差) の出方である。通常、どんなレンズも広角域になると画面周辺で水平がまっすぐ写らないなどのゆがみ=ディストーションが発生する。今回テストした16-85mmはその収差が極力抑えられているのだが、発生していないわけではなく、他のレンズの傾向と同様に周辺で樽型のゆがみが見受けられた。
周辺光量不足も広角側でやや目立つが、ディストーションと同様、DX Zoom-Nikkor ED 18-135mm F3.5-5.6G (IF) などと比べれば、作り手の努力を垣間見る思いがするほど上手にまとめられている。
シャープ感も前述の18-200mmとは比べるまでもなくしっかりしていて、周辺域の結像具合には目をみはるものがある。いや、相当高いレベルで「抜けの良さ」とも言える瑞々しさが表現できることに感心した。
最後に、シャッター速度に換算して約4段分の補正効果をもつVR II、静かな超音波モーター、3Dマルチパターン測光をそなえるカメラとの高い露出精度は、上級クラスのレンズにふさわしい性能を発揮してくれたことを付けくわえておこう。
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