消費者一人一人と向き合うことの重要性
次に「バイヤー・ペルソナ(Buyer Persona:買い手の性格)」という言葉を使いながら、エゴを捨てて対象とする市場(企業や消費者)にいかに関わっていくべきか、という概念が紹介されました。
プロモーションをする際、製品のことだけでなく、市場を形成する企業や消費者について語るべきで、それも一般化しすぎて顔や名前を持たない消費者ではなく、消費者一人一人について考える事が大切だというのが話のポイントです。
昨年、私は54件のホテルに宿泊しましたが、どのホテルのウェブサイトを見てもまったく同じに見えます。どのサイトも宿泊やパッケージなどの商品を中心にデザインされています。しかし、商品ではなく、人々を中心にデザインしたら、ホテルのウェブサイトもどんなに変化することでしょう。
ホテルのバイヤー・ペルソナには、次の5種類があります。
- 出張など個人のビジネス旅行者
- 企業の旅行管理者
- 挙式を計画するカップル
- 家族旅行の行き先を探している人
- イベントのプランナー
披露宴パッケージや家族向けのパッケージ、イベントなどの情報を掲載しているホテルサイトは多くあります。しかし、実際にホテルで結婚したカップルの感想や、披露宴に使った生バンドの情報といった、具体的で参考になるコンテンツを載せれば、各ペルソナ(利用者)により近づけるということですね。
商品を購入する人と、買った商品を使う人は必ずしも同じではありません。例えば、3才の男の子が乗る三輪車を購入するのは、男の子ではなく、お爺さんだったりお母さんだったりします。このポイントも念頭に置いて、見せたいコンテンツではなく、バイヤー・ペルソナが興味を持つコンテンツを提供することが大切です。
広報/マーケティング手法の変化
聞かせたい事や見せたい事を押し出すだけの広報/マーケティング手法は古い法則で、魅力的なコンテンツで注目を集める方法が新しいマーケティング法則だとスコット氏は主張しています。
- その1:広告などで注目を「買う」(マスコミから、シール、ペンなどの販促品まで)
- その2:注目して欲しいと頼む(記事や番組に取り上げてもらう)
- その3:押しで売りまくる
各バイヤー・ペルソナにアピールするコンテンツで注目を集める
例えば、ネットワーク機器で有名なCisco Systemsは実際の技術担当者を前面に押し出したWikiやブログで注目を集め、HPは学生を対象にビデオコンテストを行って注目を集めました(動画参照)。 新しい法則では、顧客側にコンテンツを作ってもらい成功する例もどんどん出てくるでしょう。