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総務相の有織者懇、“光の道”議論大詰め−NTT対ライバル各社

2010年4月21日

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 2015年までに国内4900万世帯すべてにブロードバンド(高速大容量通信)を普及させることを柱とする「“光の道”構想」。その具体策を検討する原口一博総務相の「ICTタスクフォース」は20日、NTTやKDDI、ソフトバンクなど関係事業者7社・団体を集めて個別にヒアリングを行った。NTT以外の事業者・団体のプレゼンテーションでは、国内の光回線市場で約75%、携帯電話市場で約50%のシェアを握るNTTグループの組織問題に意見が集中。通信市場の“NTT対ライバル各社”の構図があらためて浮き彫りになった。

 NTTグループの光回線のうち、電話局から一般家庭までを結ぶアクセス部門の分離案も浮上する中、KDDI、ソフトバンク、イー・アクセスはNTTが保有する光インフラの完全分離を主張した。

 孫正義ソフトバンク社長は「NTTのアクセス回線を分離して別会社化し、計画的に光アクセス投資を行えば、光回線の利用料は既存のメタル回線並みに安くできる」と力説。NTTの固定アクセス部門の完全資本分離を提唱する小野寺正KDDI社長兼会長も「競争環境整備にはアクセス分離だけでなく、持ち株会社の廃止が必要不可欠」と強気の姿勢を示した。また、千本倖生イー・アクセス会長は「国内のアクセス整備はモバイルインフラを含めて検討すべき」と、NTTドコモを含めた組織再編の必要性を訴えた。

 これに対し、三浦惺NTT社長は日ごろからアクセスに限定して議論を進めるのはおかしいと反論。「光回線を100%敷設しても料金を引き下げても、利用したくなる魅力的なサービスがなければ普及率は上がらない」と強調。ブロードバンドの導入が遅れている教育や農業、医療といった分野での利活用促進、電子政府・自治体の推進などを求め、ライバル各社が主張するアクセス部門の分離案に真っ向から反発した。

 一方、自前で光アクセス投資を手がけている電力系通信事業者のケイ・オプティコム(大阪市北区)と、ケーブルテレビ(CATV)最大手のジュピターテレコム(JCOM)は、光アクセス回線の分離には慎重な姿勢だ。藤野隆雄ケイ・オプティコム社長は「各社の投資インセンティブを確保し、サービス競争と設備競争の両立を実現することが必要だ」と主張。森泉知行JCOM社長も「これまで血のにじむような思いで設備投資してきたことを理解してほしい」と訴えた。

 今回のヒアリング結果が、光の道の方向性案にどんな形で反映されるのか。原口総務相が示した期限まで残り1カ月弱。光インフラのあり方はもちろん、ユニバーサルサービスや接続料、電波利用料などの抜本的な見直し、ブロードバンド市場の規制緩和や振興政策など、構想の具体化に向け乗り越えなければならない課題は多い。今後の取りまとめ作業は難航しそうだ。

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