【ロンドン=土佐茂生】二大政党制がいよいよ終わるのか――。5月6日投開票の英国総選挙で、第3党の自由民主党が世論調査で労働党、保守党を抑え、1位に躍り出た。選挙戦のさなかに2大政党以外の党が支持率トップに立つのは極めて異例。単純小選挙区制のため、支持率がそのまま議席数に反映されるわけではないが、間違いなく三つどもえの混戦になった。
英国では民間機関がメディアと連携し、毎日世論調査を行っている。自民党が1位になったのは、18日付日曜紙メール・オン・サンデー(MOS)の世論調査。同党の32%に続いて、保守党が31%、労働党が28%となった。同紙は、自民党が選挙戦の調査で単独で支持率1位になるのは、かつて2大政党の一角を担った前身の自由党以来104年ぶりと報じた。
さらに、別の世論調査会社「YouGov」が18日に発表した調査でも、自民党は33%で、保守党(32%)と労働党(26%)を抜いた。その他の世論調査でも、12日の議会解散前は18〜20%ぐらいだった同党支持率は先週後半から10ポイント前後跳ね上がっている。
きっかけは15日に行われた英国初の主要3政党党首によるテレビ討論だ。2大政党を「古い政治」と批判したクレッグ党首は、新たな選択肢の可能性を印象づけ、中継した民放局の世論調査で労働党のブラウン首相、保守党のキャメロン党首に圧勝。「誠実さ」「カリスマ性」「力強さ」で高く評価された。
ただ、現行の単純小選挙区制は2大政党に有利。しかも現在の選挙区割りは労働党に有利とされる。MOS紙の世論調査結果をもとに実際の選挙区ごとに勝敗を予測すると、定数650のうち、自民党は現有の63議席から倍増するものの121議席どまり。保守党は230議席。「漁夫の利」を得る形で、支持率3位の労働党が267議席でトップという形になる。