福岡南署は20日、生後9カ月の長女を壁に投げ付け、右脚骨折の重傷を負わせたとして、傷害容疑で福岡市南区大楠1丁目、店員岡田祐季容疑者(23)を逮捕した。関係者によると、岡田容疑者のドメスティックバイオレンス(夫や恋人からの暴力=DV)や虐待のため、妻(23)と長女は昨年12月に一時避難。再び同居後も今年2月と3月の計2回、妻は同署にDVを相談していたという。
逮捕容疑は16日午前2時ごろ、自宅マンションで長女を壁に投げ付け、右太ももを骨折する1カ月の重傷を負わせた疑い。岡田容疑者は「泣きやまないのでやった」と容疑を認めているという。
岡田容疑者は妻、長女と3人暮らしで、事件当時は妻も在宅していた。長女のはう様子がおかしかったため、17日に病院で診察を受けたが、経過観察となり帰宅。19日に再度、妻子が病院に行って骨折が判明し、病院側が福岡市こども総合相談センターに通報した。
同センターによると、昨年11月にも、病院からの通報で長女の頭蓋骨(ずがいこつ)にひびが入っているのが分かった。センターが調べたものの、事故の可能性も否定できず、家に帰したという。同12月中旬になり、夫のDVの相談を妻から受けた福岡市南区役所が、母子のシェルターに数日間保護。その後もセンターが、長女を約1週間保護した。妻が「県外の親類を頼る」と長女を引き取りに訪れたため、センターは「夫と離れて県外で暮らしている」とみて連絡を取らなかったという。妻によると、12月末に、岡田容疑者と妻子は同居を再開していたという。
同署などによると、今年2月中旬と3月中旬に、妻が同署にDVを相談。被害届を出すかどうかを尋ねると、妻は「考える」と応じるにとどまったという。3月中旬の相談時には、妻が離婚をほのめかし「実家のある熊本県に戻る」と話したため、同署は、熊本県警に対応を引き継いだという。
福岡市内では2月と今月、いずれも親による3歳女児への虐待事件が相次いでいた。
=2010/04/21付 西日本新聞朝刊=