(セ・リーグ、阪神5−0広島、3回戦、阪神3勝、20日、甲子園)シナリオとすれば出来過ぎだろう。この日登録されたばかり、しかも1軍で初めて外野を守った阪神の狩野が四回に3ラン。今季初安打が本塁打となり、お立ち台に上がったヒーローは「やっぱり気持ちいいですね」と感慨に浸った。
1点を先制してなおも2死一、二塁。甘い変化球をとらえてバットを振り抜くと、中堅方向へ放物線を描いた白球がフェンスを越えた。「上がってきてすぐに使ってくれた。結果を残さないわけにはいかない」との思いが結実した瞬間だった。
昨季の正捕手は、城島の加入で出場機会が激減。しかし金本が先発を外れたことで再び活躍の機会が訪れた。真弓監督は「あの打撃は捨てがたい」と記録がストップする前から狩野の外野手起用の可能性を示唆。出場登録を外れている間に、2軍戦で右翼も経験していた。金本の定位置、左翼の守りを「覚悟を決めて、出るからにはしっかりやろうという気持ちがあった」と務め上げた。
狩野にとって4月20日は3年前にサヨナラのプロ初安打を放った日でもある。「途中に気付きました。いい日になりました」と、阪神に連勝をもたらした10年目の27歳は照れくさそうに笑った。
真弓監督(狩野に)
「ああいうところで本塁打を打つと勝負強さが出てきたかなと思う」
阪神・山脇守備走塁コーチ(狩野の守備に)
「無難にこなしていた」