社会問題になっている「活字離れ」を懸念する猪瀬直樹副知事の提案で、都職員を対象にした言語力・表現力を磨くための勉強会が16日、新宿区の都民ホールで開かれた。約300人の職員が、フィンランドの言語教育に詳しい文字・活字文化推進機構調査研究員の北川達夫氏の講演に聴き入った。猪瀬副知事が「新しいメディアの出現で、これから本を読む習慣がどうなるのか。論理立てた考えができなくなる危険性がある」と開催趣旨を説明した。
北川氏は、「若い人は価値観を共有できる人とはコミュニケーションが緊密だが、今後、求められるのは価値観の共有を前提としないコミュニケーション」と述べ、「読書はさまざまな価値観との遭遇の場。古今東西の価値観に触れるいい機会」などと力説した。
21日には三森ゆりか・つくば言語技術教育研究所長が講演する。
石原慎太郎知事もこの日の定例会見で、「昨今の若い人の活字離れをなんとかしたい。人間は書籍を読むことで考える力を養ってきた」と話し、局横断型のチームを設け、専門家の意見を元に対策を練ることを表明した。「象徴的なのは前の総理大臣、漢字読めなかったんだからね」などと、皮肉を交え対策の必要性を強調した。【石川隆宣】
〔都内版〕
毎日新聞 2010年4月17日 地方版