鉄人の新伝説「代打金本」

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　阪神金本知憲外野手（４２）が、２０日からの広島戦（甲子園）で、最強の代打として出番に備える。連続フルイニング出場は１８日に１４９２試合でストップしたが、真弓監督は打撃に問題なしと判断。とっておきの場面で「代打金本」を送り込み、勝負をかける。代打の神様には矢野燿大捕手（４１）と桧山進次郎外野手（４０）も控え「アラフォー神様トリオ」で１・５差に迫った巨人からの首位奪回に挑む。

　連続フルイニング出場は途絶えた。スタメン復帰もしばらく時間がかかる。だが金本には、新たな重責が託された。プロ１９年目で初となる代打の切り札。それも簡単に切るカードではない。とっておきの場面、ここ１番の勝負どころでの代打だ。甲子園で戦う２０日からの広島、中日６連戦。０３年の阪神移籍後、初めて聖地に響く「代打金本」のアナウンスが、最強の必殺仕事人登場を合図する。

　首脳陣は頼もしげに言う。「カネの場合、相手投手の右左は関係ないからね。試合を決めるような場面での起用になってくると思う」。左腕が来ようがストッパーが来ようが関係ない。接戦の終盤、もしくはビハインドでも走者をためて「代打金本」。相手にとって、これほど怖い打者はいないだろう。代打での通算成績は４９打数で５本塁打を含む１６安打、３割２分７厘を誇る。右肩の痛みも打撃には我慢できる範囲内で、フルスイングは健在。少々負けの展開でも、後ろに控える金本の存在が、最後まで逆転への夢をつなぐ。

　金本も感謝を一振りに込める。「監督も最後まで粘って出てくれやという感じだった。その気持ちはすごくありがたかった」。記録ストップを直訴した日、反対に止められた。監督の思い、そして「金本さんのために勝ちたかった」と声をそろえた仲間たちのためにも、力になりたい思いは一層強まった。打棒を買う指揮官も、１６３８に伸びた連続試合出場は継続させる方針を明言。スタメン復帰まで毎試合訪れる１打席が、恩返しの舞台になる。

　金本に矢野、そして桧山。代打の神様陣も１２球団最強といえる布陣になる。２０日から狩野が１軍に昇格。捕手３人制の復活により、これまでなかなかカードを切れなかった矢野も、いい場面で送り込める。さらに桧山も含め「早めの勝負がかけられる」と真弓監督の期待も大きい。ネクストサークルでバットを振るアラフォー神様たちが、相手投手陣に重圧をかける。

　金本は練習休日のこの日、右肩の治療などに当て、来るべき出番に備えた。１８日に、１１年ぶりに体験した代打稼業への集中力も高めたことだろう。常にあったその名がスタメンから消え、新しい阪神の野球が始まる。それでもなお、チームリーダーはこの男。首位巨人とは１・５ゲーム差の２位。必殺仕事人・金本を擁した虎が、首位浮上を狙う。

　［2010年4月20日12時45分　紙面から］