牧太郎の大きな声では言えないが…

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牧太郎の大きな声では言えないが…:鳩山首相の「花道」

 「目がうつろ」と言おうか「目が泳いでいる」とでも言おうか……ともかく、鳩山由紀夫首相の目はキョロキョロしている。

 今日もウソ、明日もウソ……は政治家の常。ある程度、国民も我慢するが、下手くそな(多分、本人は意識しない)ウソを重ねているうちに、鳩山さんは何が何だか分からなくなってしまった。御曹司だから仕方ない。

 しかし、同情ばかりしてもいられない。4月12日夜(日本時間13日)、訪問先のワシントンでこんな一幕があった。普天間飛行場の移設問題で記者団が「大統領の発言は差し控えたいということですが、感触は?」と聞く。鳩山さん、キリッと「感触も申し上げられません。えへ。言葉を全部読まれますから。感触として当然5月末までにそれぞれの立場がありますから、その立場の中で、私どもが移設先をしっかり決めていくということに対しては、当然のことながら、大統領は大統領の立場で関心を持ってみていただけると思っております」と答えた。

 言葉までキョロキョロ。「言葉を全部読まれますから」とは、どんな意味なのか? ともかく支離滅裂である。

 そのうちに“撤回発言”。「私が申し上げたのは、沖縄の負担というものを軽減するということ。それがある意味で日米同盟というものを持続的に撤回させていく」とやってしまった。

 慌てて「発展させていくために」と言い直したが……アメリカからは「日米同盟撤回が本音?」と疑われてしまう。

 不信感が募るアメリカからは「会談で大統領は『進展していないじゃないか?』と言い放った」というニュースが飛び込んで来た。

 大体、衆人環視の夕食会で「最重要課題」を持ち出す幼稚な外交センス。麻生太郎前首相は再三の「誤読」で政権を棒に振ったが、鳩山さんには笑って済まされない「奇妙な言動」が多すぎた。

 5月退陣では遅すぎる。鳩山さんに「花道」を用意する時が来た。

 古くは吉田茂の講和条約、鳩山一郎の日ソ国交正常化……近くは細川護熙の小選挙区比例代表並立制、小泉純一郎の郵政民営化……何か探せば鳩山さんにも胸を張って舞台を去る「花道」がある。

 エッ、何もない?

 そんなことはない。「母親からもらった12億円」もあったけど、子ども手当はバラマキ史上に残る「花道」じゃありませんか?(専門編集委員)

毎日新聞 2010年4月20日 東京夕刊

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