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館長雇止め・バックラッシュ裁判控訴審で原告が主張する「人格権」とは?

「館長雇止め・バックラッシュ裁判」控訴審で、原告は「人格権」を豊中市に侵害された、という主張を新たに行いました。この人格権とは、どういうものか説明します。
日本 人権 NA_テーマ2
 6月5日に第2回公判が行われた「館長雇止め・バックラッシュ裁判」控訴審で、原告は「人格権」を豊中市に侵害された、という主張を新たに行いました。

参照:
労働者の解雇、必要性の立証責任は被告側にある 館長雇止め・バックラッシュ裁判控訴審・第2回口頭弁論(下)
豊中市と財団の行為は「人格権侵害」 館長雇止め・バックラッシュ裁判控訴審・第2回口頭弁論(上)

 この人格権とは、素人にはあまり聞きなれない言葉ですが、どういうものでしょうか?

 おおざっぱに言えば、人を雇う側には労働者を「人間扱い」すべき法的義務があるという、しごく簡単なものです。労働者は単に労働を提供して賃金を受けるだけの存在ではないという主張です。

 この裁判の原告の三井さんの場合なら、組織体制の変更について、館長でありながら全く情報から遮断された。部下や周囲に、言ってもいない虚偽の情報を流された。さらに、すでに採用する人が決まっているのに、公正さを装って、面接選考を受けさせられた。そうした雇用主の行為によって、人間としての尊厳をもてあそばれた、と訴えているのです。

 雇い止め、セクハラ、パワハラはもちろんしてはいけない。それだけでなく、雇用主は労働者の尊厳を傷つけないように職場環境を整えなくてはいけないのです。これは雇用主が強い人事権をもっているからこそ、雇用主に課せられたものなのです。

 最近、リストラ(行革)の一環として、専門職の人をいきなり畑違いの窓口事務に回すなどといった乱暴な人事異動が民間でも公務現場でも、しばしばみられます。専門的な知識を磨いてきたのに、ろくに説明もなしに、全然向いてないことをさせられたら、誰でも屈辱でしょう。あるいは、経験が豊かな自分に畑違いの仕事をさせ、まったく経験がない若手に自分の頭越しに仕事をさせる上司。ときどきいませんか?

 このような強引な職務変えによって、仕事に対する誇りを傷つける行為も人格権侵害とみなされます。雇用主が人格権を侵害したとして、労働者側が勝った判例もあります。

 人格権侵害を大阪高裁はどの程度認めるのでしょうか?この裁判の結果は、非正規、正規問わず、すべての労働者の働きやすさを左右するといっても過言ではありません。
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