【宜蘭(台湾東部)大谷麻由美】台湾で初めて製造され、08年12月に出荷が始まったシングルモルトウイスキー「カバラン(KAVALAN)」が世界で高評価を得ている。良質の水と空気に熟成の早さを生かし、「亜熱帯の気候はウイスキー製造に不向き」との固定観念を打ち破った。
甘みを含んだ上質な水で有名な宜蘭県員山。霧に覆われた雪山山脈のふもとにある蒸留所は、コーヒーで有名な老舗飲料メーカー「金車」が05年に設立、翌年からウイスキー製造を始めた。
宜蘭の先住民族の名前を取ったカバランは今年1月、英紙タイムズ主催の銘柄を隠した試飲大会で、スコットランドとイングランドの4銘柄を抑えて1位となり人々を驚かせた。昨年は英国で40年以上の歴史を持つ国際酒類大会「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション(IWSC)」で銀賞、今年は米国最大の大会「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SWSC)」で金賞を受賞した。
「水と空気、宜蘭独特の気候がウイスキーの熟成に適している」と金車・酒製品研究室の張郁嵐・副課長は説明する。生産技術や原料の大麦麦芽、熟成のためのオークたるは輸入だが、飲料メーカーとして培った科学技術を組み合わせ、「亜熱帯でのウイスキー」を実現した。
毎日新聞 2010年4月19日 20時41分(最終更新 4月19日 23時40分)