広島−中日 7回表1死一、二塁、遊ゴロ併殺に倒れ、がっくりと肩を落とす森野=マツダスタジアムで(榎戸直紀撮影)
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悪夢の3連戦だった。18日の広島戦(マツダ)も中日は2−4で逆転負け。今季初の同一カード3連敗を昨年16勝8敗のお得意さんにやられた。広島相手に敵地での3連敗は、7年ぶり。貯金は1となり、3位に転落したが、落合博満監督(56)は「これでシャキッとするんじゃないか」と泰然自若。20日からのヤクルト戦(ナゴヤドーム)からの巻き返しに期待だ。
まさか、まさか、まさかが3度も続いた。コイによもやの3連敗。竜の“病状”は深刻なのか。チーム状態はいったいどこまで悪いのか。
試合後、落合監督は淡々と語り始めた。さすがに笑顔はない。そして強い眼光を前に向けた。
「負けていい、ってことはないんだけど、こういう負け方を3つした方がいい。これでシャキッとするんじゃないか」
歯がゆく、苦悩に満ちた3連敗。試合後はお通夜の列。だが、先を見通せば、この屈辱がきっと現場を「シャキッと」させる。球界に身を置いて32年の指揮官には、そんな展開が浮かぶのだ。
散々だった。第1戦は看板救援陣に初めて土が付くサヨナラ。2戦目は6点差をひっくり返されてサヨナラ。この日は2点のリードを守れず、終盤に逆転された。
らしくない失態をさらし続けた。逆にスキを突き、足を使い、守りを固めたのは広島だった。落合監督はこう加えた。
「これが本来の広島の野球なんだな。これに対応しなきゃいけないということだ」
野村新体制になり、いい意味で「いやらしい」広島野球が復活していた。いつもは竜の十八番だった。お株を奪われた。プロ集団にとって、現実以上の刺激剤はない。奪い返すしかない。
名古屋での開幕カードで勝ち越した相手に、マツダで3連敗。セ・リーグ5球団と一通り対戦した後、落合監督はこんな話をしていた。
「1回りじゃ分かんない。2回りしないと。自分のところでやって、相手の本拠地でやって。2回りしないと落ち着かない。今年は、2回りした、と思ったらすぐに交流戦が始まっちゃう日程になってんだけどな…」
戦う場所で相手も変わる。忘れてはならない一つの要素。指揮官は事前に語っていた。要警戒。今回は嫌というほど見せつけられた。そして2週間後の週末、再びマツダで3連戦が待つ。
スカッと勝ったり、ガツンとやれたり。ホームとビジターでやり合いながら、相手との組み方が見えてくる。そんな道半ばでの3連敗。それでも貯金はまだ「1」残っている。高かった授業料は取り返す。再び貯金をふやす。 (生駒泰大)
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