「新橋演舞場 五月花形歌舞伎」制作発表会見に登場した(左から)中村七之助さん、市川海老蔵さん、市川染五郎さん、尾上松緑さん、中村勘太郎さん

 歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが19日、「新橋演舞場 五月花形歌舞伎」の制作発表会見に、市川染五郎さん、中村勘太郎さん、尾上松緑さん、中村七之助さんらと登場した。「奥様は歌舞伎の公演のお手伝いはされますか?」と問われた海老蔵さんは「披露宴というものををしてから、(公演の手伝いについては)きちんとやろうかな、と」と話し、会見後、「もう一緒に住み始めましたか」との呼びかけには「うん」と認めた。

 「助六由縁江戸桜」で、父・市川団十郎さんが歌舞伎座で演じた「助六」を海老蔵さんも演じることについて、「歌舞伎座最後ということで父もやっていますし、僕たちが先にやりたかったなっていうのが本音ですが、プレッシャーを楽しんでやりたい」と話し、以前は演じる必要はないと思っていたという、同演目の22年ぶりの水入りのシーンについては、「昔はそう思っていたんですが、やりたいということより習っておきたいなというのが本音。父は今健康ですが、病気をして、1回そういう状況があったので、教われるものがあったら教わりたいというのが、言葉の変化。水入りまでやるのが、お客様へ丁寧に伝えることになるのかと思いました」と語り、「義経千本桜」などで挑戦する初役(はつやく)についても「父から習ってやろうと思っています。それ以上でもそれ以下でもありません。初役というのは先輩から教わったとおりにやらなくてはならないというのが鉄則なので」と意欲を見せた。

 新橋演舞場での公演について勘太郎さんは「歌舞伎がなくなるわけではありません。父がタクシーに乗ったら3年間失業ですか?と言われたそうですが、そういうわけではありません。ぜひ新橋で舞台を楽しんで」と父・中村勘三郎さんのエピソードを交えながらアピール。七之助さんは「いままで一緒にできなかった同輩、先輩、後輩とご一緒できるのが楽しみ。諸先輩方と空気を吸えることがうれしく思います。女形なのでどこでもちょこちょこ行けると思うので、女房役などぜひ皆さん買ってくださいと。いろんな人と芝居がしたいです」と話し笑わせた。

 「五月花形歌舞伎」は5月4~28日、建て替えのため3年間休場となる歌舞伎座に代わり、引き続き行われる松竹主催公演の皮切りとして、新橋演舞場で新世代の俳優花形たちが初役、大役に挑む舞台で、時代物や世話物、舞踏の名作、家の芸など、バラエティーに富んだ演目を上演する。(毎日新聞デジタル)