【コラム】韓国製ケータイの意外な苦戦(下)
とりわけ価格が199ドル(約1万8500円)、299ドル(約2万7900円)のiPhoneは、これまで韓国が競争力を確保してきたプレミアムフォンと正確に市場が一致する。その上、携帯電話販売に大きな影響力を持つ海外の移動通信サービス業者が、無線通信の使用料、すなわち通信料金がかさむiPhoneに多くの支援を行っているため、韓国が今後さらに苦戦する状況は目に見えている。
サムスン電子やLG電子が、ソフトウエアやコンテンツ中心へと変化する市場の流れを読み切れなかったのは事実だ。しかし、市場の変化を先取りし対応してきたはずのソニーは、アップルによってさらに大きな打撃を受けた。ソニーは1980年代に小型のカセットプレーヤー「ウォークマン」を世界的にヒットさせ、直後にコンテンツ事業にも参入した。さらに、数兆ウォン(1兆ウォン=約833億円)もの巨額を投資し、レコード会社や映画会社を買収してゲーム産業にも大きく事業を拡大した。
ところが2001年にアップルが、音楽など他人が制作したコンテンツの売買ができるiTunes(アイチューンズ)という奇抜なビジネスモデルを開発すると、ソニーが10年かけて築き上げた基盤は一気に崩壊した。また、ソニーが独自の競争力を確保していたテレビなどの製造業分野でも、韓国に逆転されてしまった。つまりソニーは、コンテンツという蜃気楼を追いかける過程で、最も重要な自己資産を失ってしまったのだ。ソニーの役員は最近記者に対し、「技術のソニーを象徴する社員たちの多くが、すでに会社を去ってしまった」と述べた。
先月開催された米国携帯電話業界団体(CTIA)の年次総会では、ラルフ・デ・ラ・ベガ会長が開幕演説で、「米国は世界の無線インターネットとスマートフォン市場をリードする」と意欲を示した。米国が金融によって製造業の日本を破ったように、今度はスマートフォンで世界の携帯電話市場を掌握するということだ。米国のこうした尋常でない決意を尻目に、韓国も競争力の根本である製造業が揺らいでいないか、またそれを見過ごしてはいないか、心配になってきた。
趙享来(チョ・ヒョンレ)産業部次長待遇
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