【コラム】韓国製ケータイの意外な苦戦(上)

 iPhone(アイフォーン)が韓国社会に大きな影響をもたらしている。ユーザーはわずか4カ月で50万人を突破し、世界的に見て、韓国のユーザーが最も急速に増え続けている。また、iPhoneの影響で無線インターネットの利用も10倍に急増した。韓国国内の小規模なゲームソフトメーカーなどは、アップルの「アップストア(iPhoneやiPod〈アイポッド〉向けソフトを配信するサイト)」を通じて自分たちが開発したソフトを販売し、短期間で巨額の利益を稼いでいる。モバイルバンキング、モバイルオフィスなど、スマートフォン(PDA〈携帯情報端末〉の機能が付いた携帯電話)を利用した新たなサービスも相次いで登場した。iPhoneはこれまで名ばかりだった韓国のコンテンツ産業を、確実に活性化させる起爆剤となっている。

 それだけではない。変化の激しい韓国社会で、モバイルは今や個人と企業の競争力を示す新たなキーワードとなった。韓国を代表するサムスングループも、李健煕(イ・ゴンヒ)会長復帰のニュースを、米国のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)ツイッターで外部に知らせたほどだ。

 しかし落ち着いて考えてみると、iPhoneによる社会の変革は良いことばかりではない。何よりもiPhoneのヒットは、韓国の5大輸出品の一つである携帯電話産業に莫大(ばくだい)な影響を及ぼしているからだ。知識経済部が最近発表した携帯電話端末輸出入の動向によると、3月の時点で携帯電話端末の輸出は、昨年に続き2年連続で減少傾向にある。昨年の世界的な金融危機の影響を受けた期間を除けば、韓国の携帯電話輸出が10%以上も減少したのは、輸出を本格的に開始した1997年以来初めてだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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