映画『ノーカントリー』とトヨタ問題(上)
強欲が過ぎると災いをもたらす
2008年アカデミー賞で作品賞・監督賞を受賞した『ノーカントリー』(原題:No country for old men)は、殺し屋のアントン・シガー(ハビエル・バルデム)についての物語です。シガーは200万ドル(約1億8100万円)を盗んだ男を追う過程で、無慈悲な殺人を繰り返します。シガーが普通の犯罪者ではないことに気付いたベテラン保安官(トミー・リー・ジョーンズ)が追跡しますが、結局、現実を力なく見詰めるだけです。
アカデミー賞が最高栄誉を与え、米誌タイムがその年最高の映画に選ぶなど、米国がこの作品に熱狂した理由は、監督のコーエン兄弟が映画を通じ、当時の米国の問題点を痛烈に皮肉ったためでした。
解釈について論争はありますが、200万ドルを盗んだ男は現代社会の強欲さを意味しています。米国発の経済危機を引き起こした、あの強欲さです。アントン・シガーは強欲の「代価」なのです。一見すると、強欲の結果は甘いように見えますが、結局、殺人者の訪問、つまり血も涙もない苦痛を避けられないということです。ベテラン保安官、つまり「高齢者(Old man)」は、これまで米国を主導してきた賢者を指しています。
同作は、今日の米国が度を越えた強欲に支配されており、これに便乗して人生を浪費する人間たちで満ちあふれ、寛容と知恵とフロンティア精神で国家を導いた賢者たちはすでにいなくなった、ということを寓話的に描写しています。
今回のトヨタ問題はどうでしょうか。発端は、トヨタが米国で大量のリコールをしたためですが、その本質は、日米両国の自動車産業が強欲に目がくらみ、何が本当に重要なのかを無視してきたことにあります。
1950年代、トヨタの創業者・豊田喜一郎氏のいとこに当たる豊田英二氏は、第2次世界大戦が終わった後、崇拝していた自動車会社フォードに対し、協力したいという内容の手紙を書きました。当時、フォードの役員らは、この「取るに足らない会社」の提案を断る代わりに、英二氏がフォードであらゆる施設を見学し学べるよう、支援を惜しみませんでした。その後、英二氏は当時世界最高・最大の自動車生産施設だったフォード・ルージュ工場に常駐し、デトロイトのすべてを習得します。
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