【コラム】北京を「占領」した仏の原発PR活動
中国・北京市内の古い展示館の一つ、農業展覧館が先月下旬、久々に中国メディアの注目を浴びた。「中国国際核工業展覧会」がここで開催されたのだ。
今回の展示会には、原子力発電大国の米国、フランス、ロシアなど世界15カ国から200社を超える企業が多数参加した。開幕初日から張徳江副首相、梁光烈国防相、孟建柱公安相など副首相級の中国政府高官が相次いで展示会を訪問した。
温室効果ガスの排出削減に取り組む中国は昨年下期から、クリーンなエネルギー源である原子力発電を大幅に増設する方針を打ち出し、従来の原発建設計画を修正している。2020年までに年平均6-7基ずつ、新規に原発建設を予定しているとの憶測も流れる。1基当たり50億ドル(約4660億円)以上といわれる原発がこのペースで建設されれば、原発輸出国にとってはまさに「黄金市場」になるわけだ。
今回の展示会にとりわけ力を入れているのは、アラブ首長国連邦(UAE)の原発プラント建設受注戦で韓国に敗れたフランスだった。フランスからはアレバやアルストムなど、30社以上が出展し、展示館全体の半分近い面積を確保して大々的なPR活動を展開した。韓国は、韓国電力などが8社合同で1ブースだけ出展したが、フランスの展示規模は韓国とは比較にならなかった。在中国フランス大使館には、「原子力発電担当外交官」まで存在するという。中国の原子力関連研究機関や大学を回り、自国の原発技術の優秀性をアピールし、交流を拡大させるのが同外交官の任務だ。
フランスは昨年半ばまで、サルコジ大統領がチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマと会談したり、 清朝の離宮、円明園の流出文化財を競売にかけたりするなど、中国との関係は最悪だった。そのフランスが昨年4月、イギリス・ロンドンで開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会合で中国との関係を修復。サルコジ大統領が胡錦濤国家主席と会い、「チベットの独立を支持しない」と約束した。
昨年12月には、フランソワ・フィヨン首相が北京を訪問し、中国・広東核電グループとフランス電力公社(EDF)間で、最新の第3世代原子炉建設のための合弁契約を締結した。中国側の出資比率を70%とする契約だったが、フランスはこれを受け入れた。今年5月1日に開幕する上海万博には、欧州の首脳としては珍しく、サルコジ大統領本人が開会式に出席する。自尊心の高いフランスが、中国の原発市場を目の前にして低姿勢を見せている格好だ。
また、もう一つの原発大国ロシアの努力も相当なものだ。先月23日に習近平国家副主席がロシアを訪問した際、プーチン首相は「すべての国際問題で、ロシアは中国を支持するつもりだ」と丁重に述べた。プーチン首相は昨年から、ロシア型原発の世界市場進出を目指し、陣頭指揮に当たっている。ロシアは昨年10月、燃料効率が高く、「夢の原子炉」と呼ばれる高速増殖炉を中国に建設すると提案した。
韓国も、柳佑益(リュ・ウイク)駐中大使が中国の高官に面会するたびに、韓国型原発の安全性や経済性をアピールしているという。だが、両と質という面で、フランスやロシアには全く追い付いていない状況だ。今後10-20年間で世界の原発市場がどう推移するかを考えれば、UAEでの原発建設受注戦は「エキシビジョンマッチ」にすぎない。韓国も国家戦略の次元で原発外交を検討し、実践する時期に来ている。
崔有植(チェ・ユシク)北京特派員
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