野球:落球は命取り、外野フライは足で追え(下)

 このとき、外野手が動けばボールを見る位置が変わるため、距離感や打球のスピードを正確に把握することができるようになるという。カナダのウェスタン・オンタリオ大学研究チームは、この現象を「視覚的な変速度の消滅(optical acceleration cancellation)」という難しい言葉で説明している。「ボールの落下地点を素早く把握するためには、立ち止まっているよりも体を前後に動かした方がいい」というのだ。

 プロ野球選手たちは、こうした科学的原理を体得している。斗山でセンターを守る李鍾旭(イ・ジョンウク)選手は、「ひとまずカーンと音がしたら、何歩か後退しながら落下地点を見極める」という。現役時代に守備範囲が広いことで有名だった天安北一高のイ・ジョンフン監督は、「バットにボールが当たった瞬間、短く後ずさりするのが外野守備の基本」と話している。

耳で打球の方向を見極める

 このほか聴覚も、ボールの落下地点を判断するのに重要な役目を果たす。ボールがバットの芯を捉える音がしたら、飛距離は当然伸びるはずで、逆に鈍い音がしたら飛距離は大して伸びない場合が多い。

 プロの選手はボールカウントや走者の有無、試合の進行状況に応じて打者のスイングを予想し、打球の位置を判断することもある。右打者が流し打つ姿を見た外野手は、反射的に左に走ろうとするものだ。

 また、外野手と同じくらいフライに神経を使うポジションが捕手だ。捕手の頭上に舞い上がったボールは、強い回転を伴うため、アルファベット「L」の小文字の筆記体の軌跡を描く。このため、捕手は体を180度回転させ、背中を投手の方に向けた状態でボールを追うのが「定石」となっている。

陳仲彦(チン・ジュンオン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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