哨戒艦沈没:合同調査団「左舷下部で大きな力」(下)
左下を一撃、右上が大きく破損
いったん船内に貫入してから内部で爆発する「遅延信管」タイプの魚雷である可能性も低い。この場合、爆発の衝撃で右舷の鉄板が外向きに大きく曲がるはずだが、15日に公開された船尾右舷の切断箇所は滑らかだった。また、船内で爆発したのであれば、火災の痕跡が残っていなければならないが、ユン団長は、「電線の被覆の状態は良好だった」と語り、火災の可能性を一蹴(いっしゅう)した。
■「対角線の力=垂直の力+水平の力」
バブルジェット方式の魚雷にとって理想的な状況は、船体の真下で爆発することだ。衝撃波に続きガスバブルが膨張→収縮→再膨張して船体の中央部を突き上げ、深刻な亀裂を作る。このとき、船内では「ふわっと浮かぶ感じ」がするという。再膨張したバブルは、最後には割れてしまうが、そのとき周囲の水が一気に吸い込まれて高圧の「水大砲」が発射され、船体が真っ二つに破損する。
しかし、バブルジェット方式の魚雷が左舷下部で爆発すると、船体は右上に向かう対角線方向の衝撃を受ける。物理学的には、この衝撃力は、水平方向の衝撃と垂直方向の衝撃の合力で表現される。この力とはベクトル(大きさと方向を有する物理量)で、ベクトルは垂直成分と水平成分にそれぞれ分けて解析することができるからだ。
すなわち、天安に対角線方向の衝撃が加えられたのであれば、一般的なバブルジェットの状況で発生する垂直方向の力のほかに、水平方向の力が追加で作用するというわけだ。張教授は、「まさにこの水平方向の衝撃が、左舷に圧縮力を加えて左舷甲板を膨らませ(座屈現象)、船を右方向に押し倒したようだ」と語った。
もちろん、バブルジェット方式の魚雷(機雷)でも説明できない部分は、依然として残っている。強力な「水大砲」が発射されたのであれば、甲板が大きく反っていなければならない。だが、事故当日に天安の救助に当たった海洋警察の関係者らからは、そうした証言は出ていない。また切断面が、左舷より右舷が短い非対称の形になっている点についても、バブルジェット方式の魚雷では説明が難しい、との指摘がある。
李竜洙(イ・ヨンス)記者
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