【社説】10年間に累積した軍の問題をチェックせよ(下)
軍によるこうした一連の対応を、単なる偶然、あるいは個人の瞬間的な判断ミスとは考えられない。かつての金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)両政権では、北朝鮮艦艇が領海を侵犯しても、海軍は絶対に先制攻撃を行ってはならないなどとする「4大交戦規定」が定められていた。2002年に海軍高速艇357号は、この規定を守るがゆえに北朝鮮から砲撃を受け、尹永夏(ユ・ヨンハ)少尉ら将兵6人が戦死した。ところが大統領だけでなく、国防長官でさえ、事故から数年が経っても戦死者の追悼式には参加しなかった。金大中元政権は1999年の第1次延坪海戦で勝利した第2艦隊司令官に対し、その4カ月後には「海軍本部待機」を命じ、事実上左遷してしまった。
休戦ラインと北方限界線を隔てて200万人の兵力が対峙(たいじ)する大韓民国の安全保障状況は、アラブとイスラエルが対峙する国境地帯と並び、世界的にも激しい緊張状態が続いている。ところが「主敵」という概念さえ持とうとしなかった両政権の10年間、これらの問題が積み重なって、韓国軍は指揮官も現場も、緊急事態が起こった際に「最適の判断」と「最適の対応」を行うどころか、「必死になっても意味がない。じっとしている方が自分の地位を守れる」という保身意識が染みついてしまったのではないか。今回の天安沈没事故でも、軍はそれぞれの立場で定められた基本ルールを守ったのかについて、疑いの目が向けられている。また事故への対応に当たっても、さまざまな場面で積極的な姿勢よりも、受け身の動きが目立っていた。これも、上記のような背景があると考えれば、ある程度説明はつく。
金長官が「最初の報告が遅れたことと、一部の対応が不十分だったことについて、監査院に監査を要請する」と明言したのは非常に適切な対応だ。天安事故合同調査団も軍の指揮系統、報告の実態、危機管理態勢を徹底して総合的にチェックし、軍の姿勢や対応に問題がなかったか、あるいは全体が保身に走るような雰囲気になかったかを確認し、対策を提示する必要がある。そうしなければ、実際に危機が起こったとき、国民は軍を信じることも、また軍を貶める勢力から軍を守ることもできないだろう。大韓民国はいつ危機的状況が発生してもおかしくない国だ。そのため、軍は即刻かつ効率的に対応できる態勢を常に整えていなければならない。何か問題が起こったときにミスを隠したり、それを過小評価していては、将来さらに大きな失敗を犯す可能性を残してしまう。失敗を国全体の経験として共有してこそ、同じ失敗を繰り返さず、より発展していくための土台を築くことができるという教訓を忘れてはならない。
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