哨戒艦沈没:8人の行方不明者はどこに
沖合に流されたとは考えにくく、船首に取り残された可能性も低い
海軍は哨戒艦「天安」の船尾引き揚げから2日たった16日も船尾をくまなく捜索したが、行方不明になった乗組員44人のうち、8人を発見できなかった。イ・チャンギ元士(上級曹長に相当)、チェ・ハングォン上士(曹長に相当)、パク・ギョンス中士(軍曹に相当)、パク・ソンギュン下士(二等軍曹に相当)、パク・ボラム下士、チャン・ジンソン下士、カン・テミン一等兵、チョン・テジュン二等兵の8人だ。彼らはどこにいるのだろうか。
海軍は四つの可能性を念頭に置き、捜索活動を続けている。
まず、彼らが海底の砂に埋もれている可能性だ。海軍海難救助隊(SSU)のソン・ムジン中領(中佐に相当)は、「船尾から発見されなかった行方不明者は沖に流されたのではなく、沈没現場周辺にいる可能性がある。肺に水がたまると正の浮力が負の浮力に変わり、海底に沈んで砂に埋もれることもある」と説明した。浮力がなくなり、逆に沈む力に変わるという意味だ。
船尾の沈没地点は水深45メートルで、水圧が大気より5.5倍高く、水温も3-4度と「天然の冷蔵庫」といえる。15日に遺体が発見された乗組員の家族が、20日間も水中にいた乗組員の遺体を容易に見分けることができたのは、遺体の腐敗が激しくなかったためだ。
遺体の腐敗が早く進むほど水に浮かびやすい。しかし、船尾の沈没地点は水温が低く、遺体の腐敗が進む速度も遅い。さらに、遺体を押さえる水圧が高いため、行方不明となった将兵は長い間海底に沈んだまま、砂に覆われる可能性があるというわけだ。
二つ目に、「天安」の爆発と同時に散華(遺体がバラバラになること)した可能性だ。行方不明の乗組員が、艦体を真っ二つにするほどの強力な爆発が起きたところにいたならば、遺体は事実上見つけられない。
三つ目に、船首部分に取り残された可能性だ。軍当局は24日ごろに船首を引き揚げられると見ている。しかし、船首は2時間にわたってゆっくりと沈没したため避難や救助の余裕があったことや、船を離れる前に船首を捜索した生存者は、船首に取り残された乗組員はいなかったと証言している。そのため、船首に行方不明者がいる可能性は低い。
四つ目に、行方不明者が速い潮流に飲まれ、北朝鮮や中国などの沖合に流された可能性だ。しかし、遺体が潮流に巻き込まれ、沖合へと流されるには、いったん水に浮かんでからでないと難しい、というのが海軍の説明だ。ソン・ムジン中領は「遺体の腐敗がゆっくり進んだ点から、遺体が遠くに流された可能性は高くない。水深45メートルの海底に沈んだ状態では、潮流によって1キロ以上流されることは難しい」と話した。
結局、行方不明者は海底の砂に埋もれているか、散華した可能性が現時点では高いといえる。軍当局は3段階にわたって海上の浮遊物と水中の残骸の探索を実施する計画だ。第1段階として、「甕津」や「襄陽」などの掃海艦(機雷探知・除去艦)4隻と潜水士38人を動員し、ペンニョン島沿岸まで探索している。第2段階では、音波探知機と水中カメラを備えた無人探査艇のヘミレ号と、同号の母艦「清海鎮」を利用して、爆発地点から半径500メートル以内を精密探索する。第3段階では船首を引き揚げた後、底引き網漁船を利用して海底を調べる計画となっている。
アン・ジュンホ記者
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