【社説】安全保障上の重大状況に心の準備を

 哨戒艦「天安」沈没事件を調査している軍民合同調査団は16日、引き揚げた船体に対する肉眼検査結果で、「外部爆発の可能性が高い。内部爆発や岩礁、疲労による破壊のう可能性は極めて低い」との見方を示した。軍と民間、米軍、オーストラリアの専門家で構成する大規模調査団が引き揚げから1日で異なった見解がないほど、外部爆発だった可能性が明白であることを示している。だとすれば、爆発原因が魚雷、機雷によるものか、誰がそれを設置または発射したほかという問題だけが残された。

 これに関連し、米国務省当局者は同日、「(天安の沈没に北朝鮮が関与したという)確実な結果が出れば、大きな影響が及ぶ」と述べた。これに先立ち、キャンベル国務次官補も「6カ国協議の再開は天安(の事故原因が)救命されてからだ」と発言した。これまで北朝鮮の関与説を認めなかった米国も北朝鮮と事件を事実上直接リンクさせ始めたことになる。

 軍民合同調査団は同日、公式の記者説明で、「直接的な原因を分析可能な破片の一部が発見された」と述べた。「天安」を真っ二つにし、46人もの韓国軍の将兵の命を奪った真犯人が判明する瞬間が刻一刻と迫っていることになる。国防部長官が現在の状況を「国家安全保障の重大事態」と表現したのも当然の状況認識と言える。

 「天安」の沈没はそれだけでも「重大事態」だ。しかし、韓国が国家的、国民的決断を迫られる「国家安全保障の重大事態」が展開されるのはこれからだ。国際法上、魚雷や機雷で軍艦を沈没させることは明確な武力攻撃であり、これには国際平和を大原則とする国連憲章ですら自衛権の発動を認めている。

 韓国政府は犯罪的な挑発で犠牲になった将兵の冤魂(えんこん)を慰め、韓国の自尊心と将来の国家安全保障を確固たるものとするため、可能な限りの措置を動員する決然とした姿勢を取る必要がある。国連や他の国際機関を通じ、犯罪の主体に圧力を加える国際的ネットワークを事前に確認し、犯罪勢力に対する直接的な報復案を多角的に立て、同盟国との緊密な協力体制の現状を徹底的にチェックすべきだ。同時に西海(黄海)上の自由安全航行にかかわる当事国にも調査過程を公開し、調査結果に異議が申し立てられることがないようにしておかなければならない。攻撃主体が北朝鮮に絞られるとみられる中、国際社会で北朝鮮に対する事実上の保護国の役割を果たしてきた中国を西海の安全航行保障という名分で国際的に同調させることが重要だ。

 韓国国民も国家の非常事態で全国民が団結せず、すきを見せれば、政府がいくら断固たる措置を取っても、敵は後方をかく乱するための宣伝攻勢で逆襲をかけてくる。それを肝に銘じなければならない。

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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