海軍ヘリ墜落:原因めぐり深まる謎
韓国海軍、「北の潜水艦関連の出動」は否認
専門家「納得できない事故」
今月15日夜、全羅南道珍島沖で発生した、韓国海軍第3艦隊司令部所属のリンクス・ヘリ墜落事故をめぐり、さまざまな推測が出回っている。「対潜ヘリ」という特性上、潜水艦の捜索のため出動し、事故に遭ったのではないか、というわけだ。隠密裏に潜入した北朝鮮の潜水艦が韓国海軍の警戒網に引っ掛かり、リンクス・ヘリが緊急出動したという説だ。
しかし海軍は、「もともと昼間はもちろん、夜でも海上で超低空の捜索飛行を行っており、今回も通常の訓練」と述べ、緊急出動説を否定した。事故機が所属していた第3艦隊司令部は、「午後8時に離陸、2時間程度飛行区域を旋回した後、帰投する予定だった」と説明した。
リンクス・ヘリの墜落は、今回が初めてだ。リンクス・ヘリは1991年以来およそ20機が導入され運用中で、比較的新しい航空機に属する。巡航速度は時速234キロ、最大滞空時間は2時間30分で、1機当たりの価格は110億ウォン(約9億1640万円)。このため、ヘリそのものに欠陥があった可能性は、今のところ低いと受け止められている。
事故原因について、海軍の関係者は、「めったに事故を起こさない機種のため、謎だ」と語った。韓国国防安保フォーラムのヤン・ウク研究委員は、「夜間飛行は難しいとはいえ、最新の機種でパイロットの実力も優れており、問題はなかったはずだが、理解に苦しむ」と語った。
海軍のヘリ・パイロットは、狭い飛行甲板で離着艦しなければならず、悪天候下や夜間の飛行、低高度(18メートル)での飛行が多く、操縦技術が優れている-というのが一般的な評価だ。夜間に海上を飛行する場合、パイロットは視野を確保できず計器飛行を行うか、または暗視装置(Night Vision Goggle)を着用するが、パイロットたちの話によると、「目を閉じて車を運転するような感じ」だという。さらには、操縦技術が未熟だったという主張も飛び出した。だが、パイロットのクォン・テハ大尉(32)=士官候補生96期=は01年に任官、総飛行時間1308時間の「ベテラン」であり、未熟説は説得力に欠ける。
「鳥との衝突(バードストライク)」の可能性もある。最近は渡り鳥の移動の季節で、事故当時、超低空を飛行していたという観測があるからだ。空間識失調(vertigo)で事故が起きたという分析もあるが、ある軍事専門家は、「ヘリで空間識失調はあまり起きない」と語った。
ある軍消息通は、「哨戒艦『天安』の事故で海軍の士気はかなり落ちており、連日の飛行待機に加え厳しい世論など、精神的疲労がたまっていた。こうした雰囲気が事故を呼んだ可能性がある」と語った。
李衛栽(イ・ウィジェ)記者
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