【コラム】「4・19世代」による李承晩大統領の再評価(下)

 韓国社会が今も抱えている対立の多くは、韓国現代史、中でも歴代大統領をどのように評価するかという問題と密接にかかわっている。これまで知識人たちの間で否定的な評価が強かったのは、朴正熙(パク・チョンヒ)、盧泰愚(ノ・テウ)、金泳三(キム・ヨンサム)各大統領の時代だが、幸いなことに、これらに対しても、より柔軟に見つめ直す作業が行われている。文芸学術誌を出版する株式会社創批の編集人である白楽晴(ペク・ナクチョン)氏は、「持続不可能」としながらも、朴大統領による経済政策の成果を認めている。チョ・ヒヨン聖公会大学教授も、著書『朴正熙と開発独裁時代』で、「朴正熙体制は矛盾を抱えてはいたものの、開発を成功させたという事実については、一定の評価ができる」という趣旨の主張を展開した。朴正熙時代を完全に否定していた以前の支配的な見方が見直され始めているというわけだ。

 政治学者の姜正仁(カン・ジョンイン)西江大学教授は、昨年行われたあるセミナーで、盧泰愚、金泳三両政権について、「軍事政権が少しずつ後退できる退路を整え、民主化を比較的穏やかに実現させた」と評価した。このような見直し作業が今後も続けば、現在「失われた10年」などと批判を受けている金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)両政権に対する評価も、新たに見直されるようになるかもしれない。

 4・19革命から50年、5・18光州民主化運動から30年、韓国戦争(朝鮮戦争)から60年、日本による強制併合から100年と、韓国は最近さまざまな意味で節目の時期を迎えている。これら大きな節目に、数々の紆余曲折を経た韓国現代史を改めて振り返り、その結果、「あくまでわれわれ内部の分裂だった」として国の力を結集するのか、あるいは立場の違いを再び明確にして、互いへの批判をエスカレートさせるのかはわれわれの行動にかかっている。辛抱強さという観点から韓国現代史を見つめ直せば、よくもこれほどまでに耐え抜いたといえるだろう。

金基哲(キム・ギチョル)文化部次長待遇

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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