トヨタ、リコール問題めぐり内紛

 リコール問題よりもさらに深刻な問題がトヨタを襲っています。

 創業者一族の豊田章男社長(53)と非一族の渡辺捷昭副会長(68)がリコール問題をめぐり、責任のなすり合いをして分裂しているからです。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルは14日、豊田社長が前社長の渡辺氏に責任を問い、退任して関連会社の経営に当たるよう提案したが、渡辺氏がこれを拒否したと報じました。創業者一族と非一族陣営の長年の対立が、リコール問題を契機に顕著になったことを示す出来事です。

 豊田社長の側近は、豊田氏が昨年6月に社長に就任した際、既に会社は取り返しのつかない状態だった、と前任者を非難しています。トヨタ米国法人の元社長・ジム・プレス氏も、「リコール問題の根本原因は、収益ばかりにとらわれた“略奪者(非一族の経営陣)”に会社を乗っ取られたため」と主張しました。

 一方、非一族側も「トヨタを世界トップに躍進させたときは傍観していたくせに、問題が起こるとわれわれを犠牲にしようとしている」と強く反発しています。

 今回の問題は、リコール問題によって大きくなりましたが、その本質は権力争いです。豊田氏は社長就任後、経営陣を刷新しようとしましたが、思い通りにはいきませんでした。1995年以降に社長を務めた奥田碩氏(77)、張富士夫氏(73)、渡辺氏の非一族陣営がそれぞれトヨタの相談役や会長、副会長として影響力を行使しているからです。つまり豊田氏は、これらが招いたリコール問題の尻ぬぐいをさせられているわけです。

 大きな犠牲が伴うでしょうが、結局は豊田氏が権力争いで勝利するだろう、というのが業界の大方の見方です。豊田章男氏の父で第6代社長の豊田章一郎氏(85)=現トヨタ名誉会長=や第5代社長の豊田英二氏(96)=現最高顧問=、現相談役の豊田達郎氏、豊田自動織機取締役社長の豊田鉄郎氏ら創業者一族が、「お客さま第一主義」というトヨタの基本理念を取り戻すため、豊田章男氏を強力にバックアップすると思われるからです。トヨタの権力争いの行方が今後どのように展開されるか気になるところです。

崔元碩(チェ・ウォンソク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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