2010年3月5日 20時29分
自宅に放火したとして、現住建造物等放火罪に問われた東京都杉並区の無職、平沢美樹被告(27)の裁判員裁判が5日、東京地裁(波床<はとこ>昌則裁判長)で始まり、弁護側は「事件当時、してよいことと、してはいけないことの区別がつかない状態だった」と述べ、心神喪失による無罪を主張した。裁判員裁判で、責任能力を理由に無罪主張するのは全国で初めてとみられる。
公判は土日を挟んで8、9日に審理を行い、10日に判決を言い渡す予定。
起訴状によると、平沢被告は09年3月24日夜、自宅2階洋間のベッドに敷かれた布団にライターで火をつけ、壁など約13平方メートルを焼いたとされる。東京地検は約3カ月間鑑定留置して精神鑑定を行い、完全責任能力があったとして起訴した。
初公判で平沢被告は起訴内容について「間違いない」と述べたが、弁護側は「当時は、うつ病か統合失調症で、善悪の区別がつかない状態だった」と主張した。検察側は冒頭陳述で「母親に強い不満を持ち、道連れに自殺しようとした。当日の行動も合理的」と指摘した。【伊藤直孝】