開店して混雑するヤマダ電機LABI新宿東口館=16日午前10時10分、東京都新宿区、山本裕之撮影 |
■1万人が行列、転売目的の「並び屋」も出現?
「危険です。ゆっくり進んでください」。午前10時、オープンと同時に客が店内へなだれ込んだ。店が面した靖国通り沿いには500メートル以上にわたる長蛇の列。店の発表によると、約1万人が並んだ。
だがこの時点で、すでに日替わりの特売品のうち、パソコンなどは売り切れてしまっていたという。店の説明では、夜中から客が詰めかけたため、午前4時から並んだ約1800人に整理券などを配布。地下の特設レジで商品を販売したためという。
「中国人客が多いようだ。毎回開店の時はこうなってしまう」と店関係者。「もう買えないのか」とがっかりする客も。JR線のガード下では、家電製品を購入した客とみられる人たちが携帯電話片手に中国語でやりとりする姿が見られた。
家電量販店に開店日に客が殺到する背景には、格安の商品を買ってネットオークションなどで高く売る転売目的の客もいるためとみられている。
16日に開店したヤマダ電機新宿東口館に隣接する新宿・歌舞伎町の商店街振興組合。地域の事情に詳しい城克事務局長は「彼らは並び屋と呼ばれる組織的なグループで、激安商品のセールに並び商品を転売する。外国人のほかにホームレスもいると聞いている」と話す。
これまでも家電量販店では、安売りをする開店日や新商品の発売日に、商品の転売への警戒を強めてきた。2006年に家庭用ゲーム機を販売した福岡市の量販店では、入り口などに「転売目的の方への販売はお断りします」と書いたボードを掲げた。
商品流通に詳しいコンサルティング会社、MBAソリューションの安部徹也社長は「開店の目玉商品は安く、ネットオークションなどで転売し、数千円から1万円ほどの小遣い稼ぎをしようと並ぶ人も多い。列に並ぶのは一度だけにさせる店もあるようだ」と話す。(武井宏之)