放送法案:メディア資本規制見直し 60年ぶり抜本的改正

2010年3月2日 21時17分 更新:3月3日 0時33分

 政府は2日、通信と放送の融合を進める放送法改正案など関連法案を公表した。今通常国会に提出する。インターネット経由の番組配信など、通信と放送の垣根を越えたサービスに対応するため、現在の通信・放送関連の8法を4法に再編する。1950年の放送法施行以来、60年ぶりに通信・放送分野の法体系が抜本的に見直される。

 法案によると、複数の放送局への出資を制限する省令「マスメディア集中排除原則」の一部を法制化する。出資比率の上限については、広告収入の減少と地上デジタル放送への移行対応で経営難にあえぐ地方の放送局に配慮して、現在より緩和して出資を受けやすくする方針だ。その一方で、法制化することで厳格に適用する。

 また、同一資本が新聞社、テレビ局、ラジオ局を支配する「クロスオーナーシップ」の規制については、放送法改正案の付則に「3年以内に制度のあり方を検討する」と明記した。ラジオやテレビの放送局開設時に、新聞社が出資して開局を支援した経緯もあり、規制は事実上、新聞社に対する出資規制の意味を持つ。原口一博総務相は「新聞社と放送が密接に結びついて、言論を一色にしてしまえば、民主主義のもとである批判も生まれない」と発言し、今後規制を強化する意向を示している。

 このほか、放送設備を保有して番組制作をする事業者しか地上波放送に参入できない仕組みを、設備を持たない番組制作事業者も参入できるように改める。各社共同で設備投資ができるようにして負担を軽減するためだ。

 通販番組の増加が問題視されたことを踏まえ、地上テレビや一部の衛星(BS)放送に教養、教育、報道、娯楽、広告など種別ごとの放送時間の公表も義務づける。【中井正裕、望月麻紀】

文字サイズ変更
この記事を印刷

PR情報

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド