2010年4月19日(月)「しんぶん赤旗」

鳩山内閣が米価買いたたき

安値合戦迫られる業者

適正価格で買い入れを


 米価の下落が激しくなっています。米の需給がだぶつく中で値引き圧力が強まり、農家が再生産ができない価格になっています。鳩山内閣が米価引き下げ誘導策をとっているからです。「過剰米を政府は適正な価格で買い上げ、需給安定に責任をもて」が農民、農協の共通要求です。(中沢睦夫)


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(写真)「例年より動きがにぶい」という農協倉庫=福島県

 「全農に販売を委託した米がかなり残っている」。福島県のある農協倉庫には、昨年産(09年産)の銘柄米ひとめぼれ、コシヒカリが30段、7〜8メートルほどの高さに山積みされています。農協職員は、「9月までになくならないと、今年の米の検査と入庫に支障がでる」といいます。

 同農協では、独自に販売する農家の米が4割、あとの6割は上部団体の全農(全国農協連合会)に委託して販売しています。全農は、最大の米集荷団体です。年間を通して安定供給するため農協倉庫に米を置いています。

 しかし、安定供給の対応をとることが難しくなっています。全農は3月下旬に臨時総代会を開催し、今年10月末に30万トン程度の持ち越し在庫(売れ残り)が心配されると報告しました。「需給変動に応じた価格形成と弾力的販売」に軸足を移すとしています。

 米流通関係者は、「『弾力的』とは全農も安値販売をせざるをえないということだろう」とみます。

在庫を口実に

 3月ごろから値引き販売が顕著になりました。きっかけは、農水省が09年産米を低価格で買い入れたことです。買い入れ自体は農家の要求でしたが、「安い入札価格を示した業者から買い入れる方式」に変えたのです。

 「4月になったので値引き販売を決断することになる」。全国的な米流通団体(東京)の役員は、米事情を心配します。

 平均的には(60キロ)1万4500円でしたが、「1万2900円台でようやく落札できた。業界の常識からみてもべらぼうに安い価格だった」といいます。「在庫を抱える業者の“安値合戦”になるのではないか」。流通団体の役員は米価暴落の流れを指摘します。

 1万2900円の米価で農家の手取りを計算すると、流通経費約2000円を引き、1万1000円を割ることになります。一方、政府試算の米生産費は全国平均で1万6500円。農家は、米づくりを続けることはできません。

概算金こわい

 農協へ販売委託する米の価格は、でき秋(収穫の秋)に「概算金」として生産者に支払われ、1〜2年後に販売状況にあわせ追加払いで精算する仕組みです。

 「今年の米価は07年のような7000円という全農の概算金になるのではないか。それがこわい」。東北地方の農協の担当者は異口同音に、田植え準備に入った米どころの心情を語ります。

 07年産米のときは、農水省が古米の安売りをしたため米価が急落し、流通業者では差損が発生、概算金に影響しました。

 福島県の農協の担当者は「どこかで売買のつじつまを合わせることになる。結局、農家に負担がいくことになるのが心配だ」といいます。

 民主党中心の鳩山内閣は、米価安定のための政府米の買い入れはしない方針をとり、米価暴落を放置しています。豊作時に発生する「過剰米」は、かつては全量政府が買い入れました。自公政権時代でも「豊作分の米の区分出荷」制度もありました。安い価格ながら、米粉用や加工用に転用し、主食用の需給を引き締めるというものです。民主党はこの制度も廃止しました。

 農協の担当者は「国際米価にまで下げるつもりではないか」と、民主党がもつ輸入自由化の路線との関係を指摘します。

 鳩山内閣が今年実施する米の戸別所得補償モデル事業は、外国産米や国産米の「過剰」在庫があるなかで実施されます。

 農民連(農民運動全国連合会)や全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は、「このままでは大手卸売業者などから『農家への助成があるんだから』といわれ、“価格破壊”や“買いたたき”が必至だ」と指摘。40万トンといわれる過剰米を適正価格で緊急に買い入れることを求めています。福島県の農協担当者は「農民連の人がうちの農協にも来た。賛同署名に組合長も応じている」と期待します。





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