きのうのシンポジウムでは、私の「FPUをやめてモバイルに割り当てるべきだ」という提案に、キャリアもベンダーも全員、賛成だった。総務省も「周波数委員会」では結論が出なかったので、新たにタスクフォースをつくって再検討するという。そんなわけで日本の電波を開放する機運が少し出てきたので、FCCのもっと過激な計画を紹介しておこう。
FCCは向こう10年で500MHz、5年間で300MHzを開放する計画だ。しかもその中身が具体的に決まっていて、特に周波数の削減計画が公表されているのには驚いた。中でも最大のターゲットは放送局で、120MHz減らす「命令」を来年にも出す予定だ。アメリカではテレビの90%はケーブルで見られており、使われていない中継局が多いので、それを廃止するだけで、かなりの帯域が浮く。
同様の勧告はこれまでも行なわれたが、放送局は抵抗してきた。それは日本のFPUと同じで、電波を浪費する機会費用がないからだ。しかし今度の計画でFCCは、電波利用料を創設すると同時に、余っている帯域を放送局が売却することを認めるよう求めている。これによって、電波を遊ばせておくより携帯業者に売ったほうがもうかるというインセンティブを与えようというわけだ。
実は10年前にも700MHz帯について同様の計画が立てられ、「複合オークション」なるものが設計されたことがある。当時、私はFCCでその論文を見せてもらったが、とても経済メカニズムとしては成り立たないものだった。それをオークション理論を使って整理した論文がIkeda-Yeである。これにはFCCのペッパー局長もレッシグも賛同してくれ、今回の計画にも「FCCが買い戻す」という方法が併記されている。
同じような手法は、日本でも可能だろう。地デジに確保されている帯域は240MHz=40チャンネルもあるのに、実際に使っているのは最大の首都圏でも7チャンネル=42MHzだから、中継局をSFNにして470~520MHzに集めれば、806MHzまでの280MHz以上を(ホワイトスペースではなく)完全に空けることができ、携帯の帯域は倍増する。このとき「引っ越し代」として地方民放の赤字を補填してやれば、彼らは喜んでチャンネルを動かすだろう。
映像インフラとして電波が不可欠でなくなった今日では、現在の地上波放送局は遅かれ早かれ消える産業である。総務省の仕事は地デジなどという時代錯誤の事業で彼らを延命することではなく、地方民放を「安楽死」させてモバイル産業に無線インフラを譲ることだ。その「痛み」をやわらげるために数百億円ぐらいの補償金を出しても安いものだ。それによって創造されるビジネスは数十兆円規模になり、日本経済を救うリーディング産業になる可能性もあるのだから。
FCCは向こう10年で500MHz、5年間で300MHzを開放する計画だ。しかもその中身が具体的に決まっていて、特に周波数の削減計画が公表されているのには驚いた。中でも最大のターゲットは放送局で、120MHz減らす「命令」を来年にも出す予定だ。アメリカではテレビの90%はケーブルで見られており、使われていない中継局が多いので、それを廃止するだけで、かなりの帯域が浮く。
同様の勧告はこれまでも行なわれたが、放送局は抵抗してきた。それは日本のFPUと同じで、電波を浪費する機会費用がないからだ。しかし今度の計画でFCCは、電波利用料を創設すると同時に、余っている帯域を放送局が売却することを認めるよう求めている。これによって、電波を遊ばせておくより携帯業者に売ったほうがもうかるというインセンティブを与えようというわけだ。
実は10年前にも700MHz帯について同様の計画が立てられ、「複合オークション」なるものが設計されたことがある。当時、私はFCCでその論文を見せてもらったが、とても経済メカニズムとしては成り立たないものだった。それをオークション理論を使って整理した論文がIkeda-Yeである。これにはFCCのペッパー局長もレッシグも賛同してくれ、今回の計画にも「FCCが買い戻す」という方法が併記されている。
同じような手法は、日本でも可能だろう。地デジに確保されている帯域は240MHz=40チャンネルもあるのに、実際に使っているのは最大の首都圏でも7チャンネル=42MHzだから、中継局をSFNにして470~520MHzに集めれば、806MHzまでの280MHz以上を(ホワイトスペースではなく)完全に空けることができ、携帯の帯域は倍増する。このとき「引っ越し代」として地方民放の赤字を補填してやれば、彼らは喜んでチャンネルを動かすだろう。
映像インフラとして電波が不可欠でなくなった今日では、現在の地上波放送局は遅かれ早かれ消える産業である。総務省の仕事は地デジなどという時代錯誤の事業で彼らを延命することではなく、地方民放を「安楽死」させてモバイル産業に無線インフラを譲ることだ。その「痛み」をやわらげるために数百億円ぐらいの補償金を出しても安いものだ。それによって創造されるビジネスは数十兆円規模になり、日本経済を救うリーディング産業になる可能性もあるのだから。
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コメント一覧
なお懸案の地デジノイズ問題(http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51336866.html)については、回避する技術的な方法はいろいろあるようで、それほど致命的な問題ではないだろう、とのことでした。私の案のように放送そのものを低い帯域に移してしまえば、600MHz以上を使う放送がなくなるので、ノイズも問題にならない。
もっといいのは、地デジをVHFのガードバンドに移してH.264でやり、UHF帯を全部あけることで、これは実は日本が南米に「輸出」している方式です。
・・・これを日本でやる場合、最大の抵抗勢力は特殊法人で黙っていても金が入り、できる限り予算を余らせたくないNHKでは・・・
電波関連ということで、ラジコというネット上でのラジオ放送が始まりましたが、どう考えられていますか?
いまさら感が非常に強い反面、やっぱり全部ウェブで完結する便利さというのも強く感じています。余計な制限が一杯あるので不興を買っている面も強いようですが。
>映像インフラとして電波が不可欠でなくなった今日では・・・
で伝えられてきています)。

池田先生、
これは不正確だと思います。Distribution側では電波に頼らなくてもできる仕組みが次第にできつつありますが、Contribution側は、まだ世界中が圧倒的に電波に頼っています(例えば今回の青海省地震の映像はすべて衛星伝送
したがって、この部分は「放送インフラとしての電波が・・・」というのなら或る程度当たっていますが、裏側まで含めたら妥当じゃないと思います。
それからFCCのやり方は、とりあえずおカネを搾り取ることが目的であって、その先に空いた帯域を使ってどういうコンテンツが流れるのかについては、後は野となれ山となれ・・・って感じですから、すっごく無責任じゃないでしょうか。
秋
可能性の高いシナリオ
5月末、鳩山総理辞任
6月初め、原口一博総務大臣が、小沢グループの支持で総理大臣に就任する。
『携帯電波割り当てを世界標準にする』が目玉公約の一つになる。
7月 参議院選挙で民主党が過半数を制する。
最近、原口先生が元気に見えるのは私だけですか・・・?