小6と中3を対象にした4回目の全国学力調査が20日、実施される。過去3回は全員参加だったが、政権交代で方針が変わり、今年から全体の3割の学校を取り出す抽出方式になった。ところが、抽出から外れても自主参加を希望するところが相次ぎ、結局公立学校の75%が参加することに。「100%参加」も13県にのぼる。学力向上を求める保護者の声が強いなか、教育委員会には「競い合いの場から降りるわけにはいかない」という考えが根強い。
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参加率100%の13県をみると、九州が6県と多い。過去の成績がトップクラスの秋田、福井両県も全校参加だ。高知県(100%)、大阪府(96%)など、これまで成績が芳しくなかったところの参加率の高さも目立つ。
福岡県では、県教育長が昨年11月の県議会でいち早く全校参加の方針を表明した。同県はこれまで、県内の各教育事務所に学力向上支援チームを設け、「強化市町村」の学校には非常勤講師を送り込んできた。算数の授業が難しい分野に入ると1学級を教員3、4人で指導したケースもあり、県教委は「地域差は縮まり、対策が実を結びつつある」。今回の学力調査については県内7地区別の成績を県が集約し、これまで同様公表する予定だという。
正答率を「九州トップレベル」にすることを目標に掲げる大分県も今回、全校が参加する。県教委は、成績を自主公表して正答率アップなどの数値目標を作成した市町村教委に教員を増員する措置をとっており、昨年度は全18市町村が成績を公表した。県北部の豊後高田市では、教員らに配布するため学力向上の取り組み例などを220ページの冊子にまとめたという。
過去の成績が常にトップクラスだった秋田県も、「子どもの力を伸ばす貴重な機会」として一斉実施を各市町村に要請した。県教委は「全国学力調査は、学力を継続的に把握して改善につなげられる制度だ」。