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【白老】入館20万人を割り最低に アイヌ民族博物館
(2010年 4/2)
白老町アイヌ民族博物館(野本勝信理事長)の2009年度入館者が19万5383人にとどまった。08年度に比べて8.7%落ち込み、過去最低になった。不況や新型インフルエンザのあおりを受けて、外国人や修学旅行客の足が遠のいた。
博物館によると、入館は日本人が12万9145人と6割を占め、韓国から3万4646人、シンガポール1万5708人、中国4268人。韓国5.5%減、シンガポール、中国は20%もの大幅な減少になった。新型インフルエンザが世界的に流行した5~7月に半減するなど、外国人旅行客は11月まで8カ月連続の前年割れした。
ただ、12月から回復し、今年2、3月は前年の2倍になった。特に中国、タイが大きく伸びており、中国は、昨年7月の個人観光ビザ解禁が追い風になった。
とはいえ、年間20万人割れは深刻。ピークの91年度(約87万人)の4分の1にも満たず、内部努力で赤字幅を抑えてきたものの、「もはや瀕死(ひんし)の状態」と博物館。一部には「文化伝承は片手間でできるものではなく、観光との両立は困難」との声もある。
町は、支援を強化し、10年度補助金を09年度の4倍となる2000万円に増額したほか、国立移管を国に要望している。博物館も「国はアイヌ民族を先住民族として認めており、その存在を国民に普及啓発するのは当然の役割」と国立化の必要性を強調する。
博物館は、アイヌ文化を教材とする修学旅行の誘致に力を入れている。学校向けのプロモーションDVD1000枚製作したほか、教育関係者をターゲットにした初の「移動博物館事業」を函館で開催した。観光プロモーションも維持しながら、「学びの場所」への脱皮に向けた動きも着々と進んでいる。