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ゴールドマン問題の本質

iconBlogDate.jpg   2010-04-19 10:33:23 | マーケット

Goldman Sached!!

だって。うまいな〜、相変わらず。


本日のメルマガには詳しく書きましたが、問題の本質を間違って報道している人が多いのにびっくりします。本当に知らないんだな〜、と思う訳です。

テレビでは

「GSはサブプライムをショートしている人がいるのを知っててCDO(つまりロング)を薦めていた」

と解説してる人がほとんどですね。

でも、違いますから(笑)

詳しくはメルマガへ、ってな話になるとあざといので(笑)、要点を。

要するにこの問題点はだれがショートしているのか、ということに尽きる訳です。

今回問題になっているCDOはシンセティックといいまして、現物を集めるかわりにオプションを使ってロングポジションを組成し、ロングポジションをとっているのと変わらない効果をもたらす商品です。

現物を集めるのが面倒臭い(アセットを集めるにはそれなりに時間がかかるので実は欲しいときにすぐ買えない、という欠点があります)、また、現物ですと当然一つ一つの償還期限が異なりますので、それを平準化するなどの手間がかかる・・・・などの問題があり、面倒なのでオプションでやっちゃえ、というのがシンセティックというアイデア。

基本的にファンド側は要するにコールオプションをロングすることになります。

そうなれば一方でクレジットをショートするやつが必ずいる訳で、ショートするやつがいなければ商品そのものが成り立たない、ということで、ショートしているやつがいるのを知っているのは当たり前。

ですから、それは非難される筋合いはないのです。

メルマガに書いたように、問題はこれをショートしたやつが、実はショートで大儲けしていることが明らかだった(報道もたくさんされていてサブライムのショートをいかに予測したか、なんてテレビにまで登場していた)ポールソンにこのファンドのロングポジションの組成を任せていて、それを投資家にクリアーに説明していなかった、という点に尽きるのです。

ポールソンはすでに2005年からサブプライムをショートし始めており、この商品が売られた2007年当たりにはそれで大儲けしていたことがよく知られていた、訳ですね。

そのポールソンがコラテラル・マネージャーになっているCDO・・・つまりロングのファンド・・・を作ること自体、ディスクローズした、しない以前に信義則違反だろ、と言われている訳でして、確かにそれは信義則違反だろ、って話です。

だって泥棒に金庫を任せているようなもんですぜ。

ゴールドマンのいい訳はいろいろある訳でして、そのポールソンがショートしまくって十分割安になった、と判断したからそこでロングを勧めたのだ、なんて言い訳してくるんでしょうが、どうもそもそもポールソンが売り手に回っているとはディスクローズしていなかったようで、更にいうとその時にもポールソンはガチンコでショートしているという証拠をSECが持っているらしい・・・などという話もあり、あれま、ってな状況な訳ですね。

まあね、下がるとわかっていて投信に売りたい株を押し込める・・・なんて日本でも野村なんか普通にやってるんだけどね、ちょっとマニアックすぎる、という事でしょうかね。

え、お前もやってただろって??

おあとがよろしいようで(笑)

因みにこのポールソンさんはベアー・スターンズにいました、はい。
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