きょうのコラム「時鐘」 2010年4月19日

 下着メーカーが、年齢による女性の体形変化の法則を見つけたとの記事があった。ウエストは20代後半から約25年で10センチ太くなるという

今さら指摘されなくても知っていたが、記事の表現に哀愁を感じた読者も多かったろう。いわく「肉がそげ」「たわみ」「垂れ」「流れ落ちていく」。そして「加齢による変化後、元に戻った人は一人もいない」とトドメを刺す

これが化粧品メーカーの調査だともう少し救いのある表現になったのだろうが、脳科学者の養老孟司さんも講演で話していた。「女性は毎日鏡を見た方がいいですよ」。その意味は、5年に1回、鏡を見るようではショックが大き過ぎるというのだった

「朝起きて夕べに年はとらねども、いつの間にやら年は寄りけり」と道歌にある。歳月は日々刻々、命あるものすべてを古くしていく。「権力は必ず腐敗する」との格言も、すべてを老化させる歳月の力を言ったものだろう

政権党に贈りたい道歌がある。「あさましや老いや昔に見し人を、思えば今の我が身なりけり」。鏡に映る己の姿は、かつて批判した古い政党に刻々と似て行くとの意味だ。